【7月22日 AFP】大規模な反政府デモが7週連続で行われた香港で21日夜、白い服を着た覆面集団が民主派のデモ参加者らをバットや棒で襲撃し、45人が負傷、うち5人が重傷、1人が重体となっている。襲ってきたのは「三合会(Triad)」と呼ばれる香港の犯罪組織のメンバーとみられており、卑劣な襲撃と警察の対応に怒りが広がっている。

 中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案をきっかけにしたデモは、民主改革と普通選挙を要求し香港が有する半自治権の縮小に抗議するより広範な運動へと発展している。こうした中、香港で暗躍する犯罪組織が干渉してくる新局面に、懸念が高まっている。

 襲撃者のうち数人は、中国本土のナンバープレートが付いた車で現場を立ち去る様子が映像に捉えられている。

 7週連続となった日中の大規模デモでは、香港市内にある中国政府の出先機関までデモ隊が行進し、庁舎に卵を投げつけたり落書きをしたりした。夜になると、市内中心部の商業地区で警察がデモ隊の排除に乗り出し、一帯は機動隊の放った催涙ガスに包まれ騒然となった。

 その後、中国本土との境界に近い新界地区(New Territories)にある地下鉄の元朗(Yuen Long)駅で、デモから帰宅しようとしていた参加者らが覆面集団による襲撃を受けた。新界地区は、昔から恐れられている香港の犯罪組織が今も影響力をふるう場所として知られている。

 白い服を着た覆面集団の多くは木製・金属製の棒やバットを手に、駅のホームや列車内にいたデモ参加者らに襲い掛かった。フェイスブック(Facebook)を通じて現場の様子をライブ配信していた現地メディア「立場新聞(Stand News)」の女性記者も、地面に叩きつけられ、数回にわたって蹴られた。配信には顔が血だらけになった男性や、床に残された血だまりが映っていた。

 政府支持者による同様の襲撃は、2014年の民主派の大規模デモ、雨傘運動(Umbrella Movement)のときにも起きている。

 一夜明けた22日、卑劣な襲撃と警察の対応に批判の声が上がっている。襲撃された人々は必死に助けを求めて通報を繰り返したが、現場に警察が到着するまで1時間以上かかり、しかも未明まで周辺の路上にいた覆面集団を逮捕しなかったという。

 映像前半は、立場新聞、後半はナウテレビ(Now TV)が撮影、提供。(c)AFP