【7月22日 AFP】ペルーの首都リマを見下ろす丘にそびえ立つ巨大なイエス・キリスト(Jesus Christ)像が、物議を呼んでいる。建造費に、マネーロンダリング(資金洗浄)容疑で逮捕される寸前に自殺したアラン・ガルシア(Alan Garcia)元大統領と、汚職スキャンダルに揺れる隣国ブラジルの建設大手オデブレヒト(Odebrecht)の資金が使われていたためだ。

 80万ドル(約8600万円)をかけてリマ南部チョリヨス(Chorrillos)地区の高台に建造されたアクリルとコンクリートのキリスト像は、高さ37メートル。正式名称は「太平洋のキリスト」だが、政治腐敗の象徴とみなされるようになり、今や地元では「盗人のキリスト像」と呼ばれている。

 数千人から撤去を要求する声が上がっているこの像は、ガルシア氏の2期目の大統領任期が満了する直前の2011年に完成した。オデブレヒトのマルセロ・オデブレヒト(Marcelo Odebrecht)最高経営責任者(CEO、当時)からの贈り物だった。

 2005~14年に総額2900万ドル(約31億円)の賄賂をペルー国内でばらまいたことを認めたオデブレヒト受刑者は、禁錮19年の有罪判決を受け、現在はサンパウロ市内の自宅で自宅軟禁下にある。

 ペルーの検察当局によれば、ガルシア氏の元側近の一人が、オデブレヒトから資金を受け取ってガルシア氏に渡していたと自供している。

 ガルシア氏は像の建設に当たり、ブラジルのリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)を見下ろす有名なコルコバードのキリスト像(Christ the Redeemer)のようなランドマークになると述べていた。だが、チョリヨスのキリスト像を見に訪れる観光客はわずかだ。(c)AFP/Luis Jaime CISNEROS