■50人が順番待ち

 重度のPTSDを患うキッドさんは、ミリーのおかげで薬の摂取量を減らすことができた。夜に辛くなると「ミリーがそばに来て、前足を肩や胸に置いて慰めてくれる」「『そばにいるよ』と言っているようだ」

 シュトルベルクさんはかつて、夜を乗り切るために睡眠薬が欠かせなかった。だが、ロッキーのおかげでもう必要ない。「睡眠が最大の問題だった…毎日悪夢を見たが、いまでは月1、2度に減った」とシュトルベルクさんは語った。

 パーズ・オブ・ウォーのベテラン訓練士レベッカ・ストロムスキー(Rebecca Stromski)さんは、退役軍人が苦悩のしるしを発したときに何をすべきか犬に教え込むには1年半から2年かかると説明する。ストロムスキーさんは「退役軍人と犬がお互いを尊重し、絆を作っていくというのは非常に大変なプロセスだ」と語った。

 共同設立者ドリー・スコフィールド(Dori Scofield)さんによると、現在犬を求める人が増加しており、50人の退役軍人が順番を待っている。

 米退役軍人省が昨年末に発表した報告書によると、退役軍人は銃を所持している人が多く、2008年から2016年の自殺者数は毎年6000人以上に上っている。

 また、米ブラウン大学(Brown University)の調査では、2001年から2018年までに主な戦闘地域で死亡した米兵は計6951人に達していた。

 映像は、ニューヨーク州ネスコンセット(Nesconset)のパーズ・オブ・ウォーで犬の訓練を行う退役軍人ら。6月10日撮影。(c)AFP/Catherine TRIOMPHE