【7月21日 AFP】ツール・ド・フランス(2019 Tour de France)は20日、第14ステージ(タルブからツールマレー、117.5キロメートル)が行われ、グルパマ・FDJ(Groupama-FDJ)のティボー・ピノ(Thibaut Pinot、フランス)がピレネー(Pyrenees)の峠を攻略して区間優勝を果たした。

 細い道に横風が吹き荒れる第10ステージの終盤、チームイネオス(Team Ineos)の攻勢にさらされてタイムを落としたことで、負けん気に火がついたピノとチームは、このステージでは心に決めていた通り、自ら仕掛けて勝利を飾った。

 総合順位では、ステージ2位に入ったドゥクーニンク・クイックステップ(Deceuninck Quick Step)のジュリアン・アラフィリップ(Julian Alaphilippe、フランス)が後続とのタイム差を拡大。一方で「力が入らなかった」と話すチームイネオス(Team Ineos)の前回王者ゲラント・トーマス(Geraint Thomas、英国)は、2日連続で差を広げられた。

 前日オーバーヒートを起こしたと話していたトーマスは、この日も残り500メートルで先頭集団から遅れ始め、アラフィリップに30秒差をつけられた。33歳のトーマスは「正直に言って、きょうはスタートからまったく調子が出なかった。とにかく力が入らなかった」「だから、自分のペースで行こうと決めた」と話し、ロスを最小限に抑える作戦だったことを明かしている。

 一方、チームイネオスで共同キャプテンを務めるエガン・ベルナル(Egan Bernal、コロンビア)は、ピノから数秒遅れでフィニッシュ。今回のツールは、この日の山頂フィニッシュと同じ2000メートル超の山岳がこの後六つ待ち構える近年で最も険しい山岳コースが設定されているが、そこへ向けて自信のつくステージになった。

 トーマスはこの後、2分2秒差のトップに立つアラフィリップ、さらにピノという地元フランスの選手2人と総合優勝を争うことになる。

 この日はフランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領が大勢の護衛に囲まれながら、先導車に乗って最初から最後までステージを見守った。表彰式で両脇をフランスの同胞2人に挟まれ、興奮した様子のマクロン大統領は、今や国の英雄となったアラフィリップを見ながら「この男にはハートがある」と評し、「フランスは二人を誇りに思う」と続けた。(c)AFP/Damian MCCALL