【7月21日 AFP】モンスーンによる豪雨に見舞われているインド東部ビハール(Bihar)州では、胸の高さまで達する茶色い水が流れる中、服と身の回り品が入ったかばんを頭の上に載せた住民たちが飢え、絶望している。

 小売店を営むラジ・マジー(Raj Majhi)さんはAFPに対し、「私たちのような貧乏人の多くが水死すれば、政治家はすぐにでも注目するだろう。しかしそうでなければ、誰も私たちのことなど気にかけない」と語った。

 多くの家々と同様にマジーさんの自宅も浸水し、屋根を残して水没した。一家はどうにか幹線道路脇の狭い土地にたどり着き、そこで小さなこんろを使って食事の用意をしている。

 ビハール州はモンスーンの時期に最も大きな被害を受ける地域の一つで、洪水も珍しくない。しかし、南アジアでも特に貧しい同州の住民たちは、毎年起きる大洪水に直面し、無力感を覚えている。

 同州ではこれまでに67人前後が死亡し、450万人が被災。水位は今なお上昇し続けている。

 政府はレンズ豆が入ったインドのおかゆ「キチュリ」を配給しているが、一部の被災者にしか届いていない。

 ニマ・デビ(Nima Devi)さんと子どもたちは、キチュリが配られたときに1日1回しか食事を取れていない。デビさんは、「うちの子どもたちは、食べ物をちょうだい、おなかがすいたと言い続けている。でも私たちにいったい何ができるというの?」と語った。

 しかし、多くの被災者は着の身着のままで避難した上、配給も届かず飢えている。

 珍しくちょっとした朗報もある。今後数日間も雨は降り続く恐れがあるものの、国家気象局は特別な警報を出していない。

 だが水が引いたとしても、流されずに残った家には洪水で運ばれてきたごみがたまっており、村人たちには自宅の清掃という骨の折れる仕事が待っている。(c)AFP/Archana THIYAGARAJAN