【7月21日 AFP】ドーピング検査を妨害したと報じられ、批判を集めている中国競泳のスーパースター孫楊(Yang Sun、ソン・ヨウ)が、9月に予定されているスポーツ仲裁裁判所(CAS)の審理を公開で行い、多くの人の前で身の潔白を証明することを求めていると中国国営メディアが報じた。

 孫楊は五輪で初めて200メートルと400メートル、1500メートル自由形の金メダルを獲得するなどした屈指の大物選手だが、一方でキャリアを通じたスキャンダルの連続で、競泳界の典型的な悪役となっている。

 その孫楊について先日、国際水泳連盟(FINA)の文書が豪紙デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)にリークされ、2018年9月の抜き打ち検査で警備員とともに血液サンプルを金づちで破壊するなどした経緯が報じられた。

 孫楊は第18回世界水泳選手権(18th FINA World Championships)への出場許可は出ているものの、世界反ドーピング機関(WADA)はCASに異議申し立てを行っており、9月に審理が予定されている。異議が認められれば、すでに一度ドーピング違反を犯している孫には永久追放の処分が下る可能性もある。

 この審理について、国営新華社(Xinhua)通信がジュネーブ発で報じたところによれば、孫楊の弁護団は「完全に透明な状況で汚名をそそぐ」ために公開することを求めているという。

 弁護団は、デーリー・テレグラフ紙が「薬物検査について不完全かつ偏向した記事」を発表したと主張し、「孫楊は豪メディア、そしてFINAの判断から都合の良い部分だけを抜き出し、インターネット上での怒りの反応を引き出そうとする記者たちに抗議する」と非難した。

 さらに弁護団は、検査に訪れた担当者が「適切な資格を持っておらず」、しかも1人が「こっそり撮影している」ことに孫楊が気づいたと主張。本人は適切な検査官を「一晩中待つ」つもりだったが、派遣当局が拒否したと述べている。(c)AFP