【7月20日 AFP】メキシコの元麻薬王、ホアキン・グスマン(Joaquin Guzman、通称エル・チャポ〈El Chapo〉)受刑者(62)が19日、最高度の警備体制が敷かれ、「ロッキー山脈のアルカトラズ刑務所(Alcatraz of the Rockies)」の異名を取る米西部コロラド州の連邦刑務所ADXに収監された。グスマン受刑者は終身刑を科されており、同刑務所で一生を過ごすことになる。

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 グスマン受刑者は悪名高いメキシコの麻薬組織「シナロア・カルテル(Sinaloa Cartel)」の元最高幹部の一人で、コカイン、ヘロイン、メタンフェタミン(結晶状覚せい剤)、マリフアナ(大麻)計数百トンを米国に密輸したとして今年2月に有罪判決を受けた後、今月17日にニューヨークの連邦裁判所で終身刑を言い渡され、コロラド州に移送された。

 ADXは高地の砂漠地帯に1994年に建設された施設で、2001、2015両年にメキシコの刑務所から脱走したグスマン受刑者でも、脱獄は不可能に近い。

 現在の収監者には、連続郵便小包爆弾事件を起こした「ユナボマー(Unabomber)」ことセオドア・カジンスキー(Theodore Kaczynski)、オクラホマシティー(Oklahoma City)連邦政府ビル爆破事件の実行犯テリー・ニコルズ(Terry Nichols)、航空機内で靴の中に隠した爆発物を爆破させようとしたことで「シューボマー(shoe bomber)」の異名を取る英国人リチャード・リード(Richard Reid)の各受刑者や、ボストンマラソン爆破事件の実行犯ジョハル・ツァルナエフ(Dzhokhar Tsarnaev)死刑囚がいる。

 収容者らは鋼鉄とコンクリートでできた狭い房に入れられ、1日90分間しか外に出ることが許されず、手かせと足かせを掛けられる。

 グスマン受刑者は2017年1月に米国に引き渡された後、ニューヨークのメトロポリタン矯正センター(MCC)で2年半、常に照明が当たっている窓のない独房に収容され、ニューヨークでの裁判中にブライアン・コーガン(Brian Cogan)判事に対して、MCCでの収容生活は絶え間ない「感情・精神・心理的」な拷問だと述べていた。

 グスマン受刑者の弁護人を務めたジェフリー・リクトマン(Jeffrey Lichtman)氏は17日、記者団に対し、当人にとってADXは、MCCに比べれば「公園を散歩するようなもの」だろうと話している。(c)AFP