【7月19日 東方新報】中国の一帯一路(Belt and Road)戦略を実施するために中国主導で発足した国際金融機関・アジアインフラ投資銀行(AIIB)は13日、ルクセンブルクで開催されたAIIB理事会第4回年会の席上で、アフリカのベナン、ジブチ、ルワンダの3国の正式加盟を批准した。これでAIIB加盟国は100か国となった。AIIBは米国、日本の世界最大と第3位の経済大国が加盟しておらず、国際金融機関としての信用が危ぶまれていたが、加盟国が100を超えたことで、そのグローバル経済への貢献や理念が国際社会から認められ、中国の信用力と影響力が肯定されたといえる。

 AIIBは、2016年に正式発足した当時の加盟国は57か国だった。英国、フランス、ドイツなど先進国も多く、加盟国の数からいえば日本が最大出資国のアジア開発銀行(ADB)加盟国48か国をはるかに超える。

 これまでに、アジアを中心とした18か国で交通、エネルギー、通信などの46項目のプロジェクトに対し計85億ドル(約9151億円)の融資を行ってきた。アジアが将来的に必要とするインフラ建設に必要な資金は毎年1兆4000億ドル(約150兆円)不足しており、アフリカにおいては毎年680億~1080億ドル(約7兆3200億~11兆6200億円)不足しているという。世界銀行や国際通貨基金(IMF)などの既存の国際金融機関が新興市場や途上国の急速な経済的台頭に対応しきれていない中、途上国メンバーの参加が多く、その発言権も比較的大きいAIIBは、先進国の基準を押し付けるのではなく、より公正で合理的な方向にそったグローバル経済の発展を推進できるとの期待があった。AIIBは既存の国際金融機関の役割を奪うものではなく、その機能を補完していくことを目的としており、2016年のインドネシアのスラム改善プロジェクトも世銀の協調融資の形をとった。

 AIIBの加盟国は、世界各地に広がり、資金と技術を提供できる先進国と基礎インフラが十分でない途上国を包括。運営統治、政策基準、マンパワーやリソース管理方式も国際水準を維持しており、融資や内部調達の審査についても、厳格なシステムで行われている。その結果、ムーディーズ・インベスターズ・サービス(Moody's Investors Service)、スタンダード・アンド・プアーズ(Standard and Poor'sS&P)、フィッチ・レーティングス(Fitch Ratings)の三大格付け企業からは2017年、2018年とも3Aという最高級の評価を得ている。

 中国は、AIIBの発足を提唱し、発足当初からその運営と発展の中心的役割を担い、資本金以外にも、5000万ドル(約53億8000万円)を出資して、途上国のインフラ建設用の特別基金を設立するなどしてきた。ロバート・ゼーリック(Robert Zoellick)世銀元総裁は「AIIBはその運営の透明性、国際標準性、協力の在り方などで模範を確立している。今後さらに高水準の運営を継続し、アジアと世界の経済成長とグローバル経済の整備のためのさらなる貢献が期待されている」と称賛している。 (c)東方新報/AFPBB News