【7月19日 AFP】次期英首相の最有力候補、ボリス・ジョンソン(Boris Johnson)前外相が、ニシンの薫製を持ち出して欧州連合(EU)の「お役所仕事」によって英国の生産者が痛めつけられていると批判したところ、EUから「フェイクニュース」だと逆に非難される羽目となった。

 保守党党首選で首位に立つジョンソン氏は17日、ロンドンで開いた選挙集会で演説した際、英国のEU離脱(ブレグジット、Brexit)をできるだけ早く実現しなければならないとの主張を強調するため、英国名物の薫製ニシン「キッパー」を取り出して高く掲げた。

 ジョンソン氏は、手にしたキッパーの生産者である「マン島(Isle of Man)の薫製業者たちは、すっかり怒り狂っている」と前置き。「何十年もキッパーを郵送してきたのに、EUの役人たちのせいで出荷コストが膨れ上がっているからだ」と批判すると、今度は保冷剤を取り出して掲げ、「役人たちはキッパーを1袋ずつ、この保冷剤を付けて出荷しなければいけないと要求している」と主張した。

 しかし、EU食品安全当局の報道官は18日の会見で、生産者には食品安全基準を満たす義務が課せられているものの、「最終消費者への食品販売に関してはEUの衛生規制の適用外だ」と反論。さらに「鮮魚なら厳格な規則の対象だが、(薫製などの)水産加工品にはそれらの規則は適用されない」と説明し、「つまり、ジョンソン氏が述べた例にはEU法は無関係で、純粋に英国の力量の問題だ」と一蹴した。(c)AFP/Alice RITCHIE