【7月19日 AFP】仏パリ市当局は18日、ノートルダム大聖堂(Notre Dame Cathedral)の火災により周辺の学校で鉛汚染が生じた事実が隠蔽(いんぺい)されたとの報道を受け、鉛汚染が市民に危険を及ぼすことはないと強調した。

 環境団体は火災の直後に、ノートルダム大聖堂の屋根に使用されていた鉛300トンに火が及んだことから、周辺住民、特に子どもに危険をもたらしていると警告していた。

 仏ニュースサイト「メディアパルト(Mediapart)」は18日、ノートルダム大聖堂周辺の学校と保育所で、最大で1平方メートル当たり698マイクログラムの鉛が検出されたと報道。この数値は安全とされる濃度の上限である同70マイクログラムの10倍に相当すると伝えた。

 だが、エマニュエル・グレゴワール(Emmanuel Gregoire)パリ副市長はこの報道を否定。記者は検査結果を誤って解釈しており、検出された鉛の濃度は公衆に健康リスクをもたらすとされる水準よりもはるかに低かったと説明した。

 グレゴワール副市長は記者会見で「何かリスクがあったのであれば、学校は再開しなかったはずだし、9月にも再開しないだろう」と指摘。鉛濃度の法定基準は1000マイクログラムであり、70マイクログラムは当局による調査が必要とされる基準にすぎないと述べた。

 パリ保健当局のアルノー・ゴティエ(Arnaud Gauthier)氏は同日これに先立ち、ノートルダム大聖堂周辺の学校では夏休み中に「徹底清掃」が実施され、すべての壁や備品が拭かれ、校庭も散水によって洗浄されると発表していた。

 グレゴワール副市長はこれについて、通常の措置であり、火災や鉛汚染とは関係ないと主張した。(c)AFP