【7月18日 AFP】オーストラリアの北部熱帯地域に生息する有毒なオオヒキガエル1匹が16日、南東部のシドニー近郊で捕獲された。外来種であるオオヒキガエルがより涼しい気候に適応して南部でも繁殖すれば、同国固有の野生生物が危険にさらされるとの懸念が上がっている。

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 シドニーの北方約50キロで、地元住民が雄の成体を捕獲した。オーストラリア爬虫(はちゅう)類公園(Australian Reptile Park)によると、同域で野生のオオヒキガエルが発見されたのは、これが初めてだという。

 オオヒキガエルはその猛毒で捕食動物を殺すことから、北東部では同地に固有の野生生物の個体数が目立って減少している。

 オオヒキガエルはサトウキビ畑に生息する甲虫類の数を抑制するため、1935年に中米から同国に持ち込まれた。環境保全活動家らは、生命力が強く適応能力があるオオヒキガエルが、異例の暖冬で南東部の気候にも適応しつつある可能性があると危惧している。

 オオヒキガエルの繁殖速度は速く、雌は1年間に最大7万個の卵を産むことができる。その繁殖の抑制に力を入れてきた豪政府によると、オオヒキガエルの同国内最南の生息地として確認されているのは、シドニーの北方約400キロ付近だという。

 豪爬虫類公園のティム・フォークナー(Tim Faulkner)代表は、生物多様性が高く、多種の生物が生息する南部にオオヒキガエルが移動した場合、より多くの生物が危機的状況に追い込まれると述べ、「オオヒキガエル1組だけで、壊滅的な影響がもたらされる恐れがある」と指摘している。(c)AFP