【7月24日 CNS】中国・四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)の成都錦江緑道江灘公園には、「錦江閣」という特別な「観光スポット」がある。竹編みの壁に囲まれ、遠くから見ると何かの文化的施設のようだが、近づくと、公衆トイレであることにびっくりする。

 中に入ると、最初は普通のトイレエリアだが、左側のガラス張りのドアを開けたら特別な世界が広がる。空調の整った部屋の中に、テレビやソファ、スナックの自動販売機、クレーンゲーム、コーヒーメーカーなどの設備がずらりと集まっているのだ。

「ここは自分の部屋よりも快適だよ」。近くの競技場で働いている胡長征(Hu Changzheng)さんは快適さを求めて、夏場の昼休みは、ほとんどこの「錦江閣」で過ごすという。

 四川省旅行発展環境保護技術会社の王勲(Wang Xun)会長は「錦江閣は江灘公園を訪れる人のためにつくったグリーントイレだ」と説明。単に用を足すだけの場所ではなく、人々が集う公共スペースや親子で娯楽を楽しめるスペース、ビジネス用スペースを設けて、さまざまなサービスが体験できる新しい空間をつくったという。

 王勲氏はまた、「多様なサービスを提供すると同時に、トイレ自体の改善にも力を入れた」と強調。トイレを利用した後、バブル(泡)が自動的にトイレを洗い流し、節水と除臭、消毒を同時に行う技術を導入した。

「錦江閣」の周瓊英(Zhou Qiongying)「トイレ長」は、高齢者や子ども、授乳中の母親が使いやすいように、ボタン一つで開く電動ドアや、ボタンを押して助けを求める装置を紹介。また、紙を節約するため、顔認証形式で1人3回までティッシュを取ることができる機械も設置した。

 成都市内のすべての公衆トイレはインターネットに接続されており、だれでも携帯電話で各公衆トイレの設置場所を確認できる。一部の古い公衆トイレもビッグデータやクラウドコンピューターなどの技術によって「スマートトイレ」にアップグレードされた。スマートトイレは外部から、トイレの空き状況、温度、湿度、アンモニアの量などのデータが表示でき、転倒などの事故があれば自動的に警察に通報される。

 成都市の公衆トイレはスマート化したと同時に、市内の主要地域にある851か所の公衆トイレでは管理能力を高めるため、公開入札が行われた。

「毎日午前6時から天井やトイレの点検、消毒など23項目のチェックをはじめ、午後11時までずっと見守りを続けています」と成都市錦江区春熙広場公衆トイレの「トイレ長」徐培元(Xu Peiyuan)さんが説明する。彼が管理している公衆トイレは、清潔さを維持するため、用途に応じて20種類以上の清掃用具と8、9種類の洗剤を備えているという。

 成都市錦江区の「トイレ専門マネジャー」楊世金(Yang Shijin)さんは毎日5、6時間かけて周辺の40余りの公衆トイレを検査している。「昔の錦江区公衆トイレの清掃サービスは、ほとんどが町事務所や道路清掃会社が他の業務のついでに担当し、清潔さの水準はさまざまだった。今は違う。トイレの管理はプロがやっている」と笑みを浮かべながら話した。

 楊世金さんによると、今の管理制度では、各エリアに1人の「トイレ専門マネジャー」がいて、各公衆トイレには少なくとも1人の「トイレ長」が配置されている。「トイレ長の頻繁なチェックと清掃によって、各公衆トイレは標準化された清潔度を維持することができたのです」

 世界トイレ協会の創設者の沈銳華(Shen Ruihua)氏は、成都の「トイレ革命」は世界的なトイレの衛生状況と文明の発展の「縮図」と位置づける。「トイレ革命は新たな公衆トイレの建設だけでなく、その後の管理、メンテナンス、快適さなどをより重視しなければならない」。各地域のさまざまな環境、文化の違いや慣習に合わせて整備していけば、「トイレ革命」をさらに推進させることが可能という。(c)CNS/JCM/AFPBB News