【7月19日 CNS】中国・河南省(Henan)鹿邑県(Luyi)のある農村の学校で、建設中の生徒用宿舎の基礎部分に使われたセメント25トン分に欠陥が見つかったことがわかった。固まったはずのコンクリートが、片手でつかんでもすぐに砕けてしまったという。

 問題が起きたのは民間で運営されている志成実験学校で、小学校と初等中学校があり、児童・生徒数は約1700人。張光啓(Zhang Guangqi)校長の話によると、同校の児童・生徒は主に近隣の農村の子どもで、学校の寄宿舎で暮らす児童・生徒は約960人、多くは親が家にいない「留守児童」だという。

 元の寄宿舎は木綿工場の機械建屋を改築したもので、狭くて居住性が悪かったため、借金を合わせ300万元(約4700万円)以上の資金を調達し、2019年3月から、4階建ての新寄宿舎の建設工事を始めていた。

 問題のセメントは、山東省(Shandong)で製造された「海固中聯(Haigu Zhonglian)」という商品で、同校はこれを小売店経由で9750元(約15万3000円)で購入した。このセメントで基礎を造り、3日を経てその上に鉄骨を立てる作業を始めた時に、基礎部のコンクリートがまだ固まっていないことを発見し、工事の中止を余儀なくされた。

 小売店にクレームを入れてもらちが明かず、セメントの製造元に問い合わせると、人が来てサンプルを採取して帰ったが、製造元のサンプル試験結果は「品質に異常なし」で「合格」という返答だった。このため、学校側は4月下旬、鹿邑県市場監督管理局に小売店と製造元について相談。同局は直ちにサンプルを採取、安徽省(Anhui)の品質監督検査所に送ったところ、6月に出た検査報告書で、このコンクリートは割れ強度、耐圧強度の全ての値で国家基準を大幅に下回っており、不合格との判定だった。

 学校側は製造元に対し、工事コストや人件費、契約延期賠償金など合わせて約30万元(約470万円)の損害賠償を請求したが、製造元は金額が高すぎるとして応じていない。

 寄宿舎の工事は6月に再開したが、秋の新学期に間に合いそうもないため、学校側は幾つかの教室を臨時の宿舎にする手配を進めている。(c)CNS-北京青年報/JCM/AFPBB News