【7月17日 AFP】世界の大半の都市は交通事情に問題を抱えている。渋滞に巻き込まれた人や満員電車に乗っている人に話を聞いてみるといい。とりわけコンゴ民主共和国の首都キンシャサの通勤ラッシュは「世界最悪」だ。

 キンシャサ東部の朝の通勤ラッシュはすさまじい。バスには、街の中心部へ向かうビジネスマンや午前中の授業に遅れまいとする学生といったあらゆる人たちがすし詰め状態で乗っている。通勤通学は気が重いと感じる人は多いだろうが、ここに住む人々にとっては特にそうだ。

 この広大な街で利用されているもう一つの交通手段がタクシー。渋滞中の道路にはひときわ目を引く黄色い車両がひしめいている。タクシーを装い乗客を誘拐する事例が相次いでいるため、運転手にはナンバープレートの明示が義務付けられている。だが至る所で見かけるタクシーでさえ、需要に応えることができていないのが現状だ。

 市民がこうした問題に直面していることを受けて、米配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズ(Uber Technologies)の運営スタイルをまねたスタートアップ企業数社が、交通産業の隙間を埋めようと模索している。

 中でも成長著しいのが、若い女性起業家パトリシア・ヌゾランティマ(Patricia Nzolantima)氏が経営する「ユビズカブス(Ubizcabs)」だ。同社は多数の車両を保有している。

 キンシャサ市内のタクシーの利用料は、10~40ドル(約1100~4300円)ほど。大半の地元住民には手が届かない。だがAFPの取材に応じたヌゾランティマ氏は「目標は、誰もが利用できるようにすること。私たちは中間層を対象に事業を始めましたが、さまざまなタイプの車両を投入することですべての人に同様のサービスを提供したい」と語った。

 キンシャサは、約1000万人の人口を抱えるアフリカ第3の都市。国連(UN)の推定によると、同市の人口は2030年までに世界の都市の中で10番目に多くなるとみられている。交通事情を改善し公共交通機関を発展させることは、同市にとって不可欠と言える。

 映像前半は通勤ラッシュ時間帯に大混雑するバスと渋滞する通りで行き交うタクシー。後半はヌゾランティマ氏が経営するユビズカブスの車両。4月15、28日・6月7日撮影。(c)AFP