【7月19日 CNS】11日に閉幕した中国全国陸上選手権で、男子走り幅跳び国内ランキング1位の張耀広(Zhang Yaoguang)はチームメートの黄常洲(Huang Changzhou)に及ばず、2位となった。しかし、それほど落ち込むことはなかった。すでに世界陸上ドーハ大会(IAAF World Championships in Athletics Doha)と東京五輪の出場切符を手に入れた今、彼の目標は、国際大会に絞られている。

 今年4月にカタール・ドーハで行われたアジア陸上選手権でも、張は金メダル筆頭候補と目された。チームメートの黄もおり、走り幅跳びで中国は金メダルに「2つの保険」をかけているともいわれた。しかし、張は決勝で6回のジャンプのうち4回でファウル。特に最後のファウルの後、20歳の橋岡優輝(Yuki Hashioka)が最後のジャンプで8メートル22を記録して逆転優勝し、張と黄は2位と3位に終わった。手に入りかかった金メダルを逃した張は表彰台で始終、無表情だった。

「残念な気持ちはある」。張は素直に認める一方で、「受け入れられないのは、金メダルを取れなかったことではなく、日本人選手に負けたことだ」と語った。

 アジア陸上選手権までは、中国人選手は完全に橋岡を封じていた。昨年8月にインドネシア・ジャカルタで行われたアジア大会で、橋岡は4位にとどまり、中国の王嘉男(Wang Jianan)と張が金、銀メダルを獲得した。アジアの陸上競技界では近年、アジア出身以外の選手の帰化を積極的に受け入れる西アジアの国々が台頭している。その中でも、中国の選手が得意とする種目で、古くからのライバル・日本に敗北することは受け入れられないことだ。しかも、1年後の五輪は東京で開かれる。ホームで各国選手を迎え撃つ日本人選手たちは、虎視眈々(たんたん)と金メダルを狙っている。

「アジア陸上選手権での挫折は私たちにとっていい刺激となった」と黄は言った。それは張にとっても同じで、その挫折は刺激となり、その後の成績に結び付いた。アジア陸上選手権から2か月後のスイス陸上国際競技会で、張は8メートル25の成績で優勝した。自己最高記録に及ばなかったが、走り幅跳びで世界陸上選手権と東京五輪の出場資格を手に入れた中国の初の選手となった。

 今の状態について、張は「夏のトレーニングが始まってから徐々に良くなっている」と言う。今は、アジア陸上選手権での挫折を「自分への警鐘」と考えており、「来年の東京五輪で日本人選手に負ければ、私の選手人生にとって大きな挫折になるだろう」と語った。中国人選手は最近、8メートル20を超える安定的な記録を出しているが、「日本人選手と私たちの差は確実に縮まっている」と語る。

 日本人選手を重視する理由について、張は「日本人選手を怖がっているわけではない」とした上で、「戦略的には敵を軽視するが、戦術的には敵を重視すべきだ」という毛沢東(Mao Zedong)の言葉を引用。全体として優位に立ちつつ、個別の戦いでは油断せず全力で臨むという姿勢だ。「日本は中国にとって長年のライバルだが、アジアの陸上界で、中国は日本より高い位置にあるとみられている」と負けられない理由を説明した。

 今年9月に開幕する世界陸上選手権で、張は決勝進出を目標にしており、「中国人選手として、走り幅跳びの表彰台に立ちたい」と意欲を見せている。(c)CNS/JCM/AFPBB News