【7月18日 AFP】イタリア警察が極右過激派関係者の自宅からミサイルなどを押収した問題で、カタール外務省のロルワ・ハテル(Lolwah al-Khater)報道官は16日、ミサイルはかつて同国軍が所有し、1994年に第三国に売却されたものであるとツイッター(Twitter)で明らかにした。

【動画】極右関係者宅からミサイル イタリア警察が押収 押収現場の映像

 伊警察は、ネオ・ファシズム政党「新しき力(Forza Nuova)」から選挙に出馬したことのあるファビオ・デルベルジョーロ(Fabio Del Bergiolo)容疑者(50)を含む3人を逮捕。同容疑者の自宅を捜索した結果、大量の武器に加え、ネオナチ(Neo-Nazi)のプロパガンダやアドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)関連の品を発見した。押収した重さ245キロのマトラ(Matra)社製ミサイルについて、「完全に使用できる状態で、カタール軍が所有していた」と説明した。

 ハテル報道官は押収されたミサイルについて、カタール政府が「1994年にマトラ社製の(空対空ミサイル)シュペル530(Super 530)40機を含む取引で友好国に」売却したものだと説明。この友好国は「現捜査段階で名前が公表されることを望んでいない」という。

 ミサイルはフランス製で、地元メディアの報道によると、デルベルジョーロ容疑者はこれを47万ユーロ(約5700万円)で売却しようとしていたという。警察は、ミサイルに「爆薬は入っていなかったが、この分野の専門家であれば再び実戦で使用できる」状態だったと説明した。

 今回の家宅捜索は、ウクライナで親ロシア派反政府武装組織と戦っていたことが明らかになったイタリアの過激派組織に対する捜査が引き金となった。

 警察はデルベルジョーロ容疑者の身柄を確保すると、家宅捜査で短機関銃「スコーピオン(Scorpion)」や銃器の部品306点、銃剣20本などの大量の武器を押収。デルベルジョーロ容疑者のほか、スイス人(42)とイタリア人(51)をミサイルの所持・販売の容疑で逮捕した。

 シュペル530F(Super 530 F)はR530を改良したもので、1980年に配備が開始された。射程は25キロで、弾頭重量は30キロ。(c)AFP