【7月15日 AFP】14日に行われたテニス、ウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2019)の男子シングルス決勝で、史上最長の激闘に敗れたロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)が、大会9勝目につながる二つのチャンピオンシップポイントを取り切れなかったことを「機会を逃した」と悔やんだ。

 大会第1シードのノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)と対戦した第2シードのフェデラーは、サービングフォーザチャンピオンシップで迎えた最終セットの第16ゲームで二つのチャンピオンシップポイントを手にしたが、最終的に6-7(5-7)、6-1、6-7(4-7)、6-4、12-13(3-7)で敗れた。

 4時間57分の死闘は過去最も長い決勝戦となったが、信じられないことに、37歳のフェデラーはこれまでの最長記録である2008年の決勝も経験しており、そしてそのときも、ラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)との激闘に敗れた。敗戦後、プレーヤーズボックスの夫人と子どもたちを見つめるフェデラーは涙をこらえているようにも見えた。

 フェデラーは「話すのがつらい」「こんな気持ちを味わうくらいなら、全セット2-6でストレート負けの方がましかどうかは分からない」「ただ、今となっては正直かなりどうでもよい話だ」「これ以上の失望や悲しみ、怒りもあるのかもしれない。今の感情は自分でもよく分からない」と話した。

「感じるのは、素晴らしく大きな機会を逃したということ。それが信じられない。しかしこれが現実だ」

 これでフェデラーは、四大大会(グランドスラム)でのジョコビッチ戦は5連敗となり、最後に勝ったのは2012年のウィンブルドンまでさかのぼらなくてはならない。それでもフェデラーは、2回のチャンピオンシップポイントを逃したときも負けるという感覚は抱いていなかったという。

 明らかに落胆した様子で、それでもフェデラーは「実を言えば、8オール、9オールになったときも気持ちは落ちていなかった」と気丈に話した。

「ポジティブな面、良い部分に目を向けるんだ。まだブレークダウンになったわけじゃない、試合が終わったわけじゃないというようにね」「そうやって、いつでも良い方に考えるようにする必要がある。ただ、確かにあれだけのチャンスがあったわけだから、きつい結果なのは間違いない」

 今回は敗れたフェデラーだが、グランドスラム通算20勝は男子選手では史上最多。それでも本人にとって、そうした数字は今はあまり意味を持たないという。

「以前は本当に大きなことだった。多分、記録に近づいている頃はね」「それからあと2勝になり、やがて並び、その後に記録を破った」「それは大きなことだった。しかし、そこから感じ方が変わった。自然な流れとして、追いかける対象が別のものに変わったからだ」

「今は別のところからモチベーションを得ている」 (c)AFP/Pirate IRWIN