【7月15日 AFP】中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案をめぐり広範な抗議行動が起きている香港で14日夜、ショッピングモール内で警察とデモ参加者が衝突した。

 警察はデモ隊の小集団に催涙スプレーと警棒を使用。デモ隊はこれに対し瓶などを投げて応戦した。

 この衝突に先立ち、大規模な抗議集会が沙田(Sha Tin)で行われた。沙田は港周辺に広がる主要地区と中国との境界の間に位置している。

 同日午後、デモ隊が交差点を占拠してバリケードをつくり、警官隊と数時間にわたるにらみ合いになった際に短時間の衝突が起きていた。しかし、夜になってショッピングモールで発生した衝突がこの日もっとも激しい衝突となった。現場にいたAFP記者によると、警官隊がバリケードを突破してショッピングモールに突入すると数百人のデモ参加者が逃げ、警官隊に上階から物を投げ付けた。

 少なくとも警察官1人が投げられた物に当たって意識を失い、床に血が流れたのが目撃された。警察は盾と警棒で上階に突入し、高級服飾店が並ぶショッピングモール内で多数が逮捕された。午後10時(日本時間同11時)までにはほとんどのデモ参加者がこの場を離れた。

 14日には沙田で数万人規模のデモ行進があった。香港でこのような大規模デモが行われたのは5週連続。大規模デモのほとんどで警官隊と少数の強硬なデモ参加者の衝突が起きている。

 中国・香港行政トップで親中派の林鄭月娥(キャリー・ラム、Carrie Lam)行政長官は「逃亡犯条例」改正案は「死んだ」と発言したが、民主的な改革や普通選挙権、そして香港の自由を制限しないよう求める運動に発展した世論の怒りはほとんど弱まっていない。(c)AFP/Elaine YU