【7月12日 AFP】フランスの著名シェフが、レストラン格付け本「ミシュランガイド(Michelin Guide)」の覆面調査員から自家製チーズスフレに英国産チェダーチーズを使っていると批評されたため格下げされ、うつになったとしてミシュランに激怒している。

 フランス・アルプス(French Alps)の山あいにレストラン「ラ・メゾン・デ・ボワ(La Maison des Bois)」を営むフランス人シェフ、マルク・ベイラ(Marc Veyrat)氏(69)は、ミシュランガイドから店を除外するよう編集部に要求した。

 ラ・メゾン・デ・ボワは今年1月、最高ランクの三つ星から二つ星に格下げされた。このためベイラ氏は今に至るまで、うつ症状に苦しんでいるという。

 ベイラ氏が特に立腹しているのは、ルブロションやボーフォール、トムといった地元産チーズを使ったラ・メゾン・デ・ボワのチーズスフレについて、覆面調査員が「厚かましくも、英国産チェダーチーズを使用していると言った」ことだ。「ミシュランは私の郷土を侮辱した」とベイラ氏は10日、AFPの取材に語った。「店の従業員たちも激怒している」

「私たちは自家農場で採れた卵と牛乳しか使っていないし、ハーブ(香草や薬草)は毎朝、植物学の知識のあるスタッフ2人が収穫している」

 ベイラ氏は、出身地オートサボア(Haute-Savoie)県でレストランを経営しており、店の周辺で収穫したハーブを活用したいわゆる「ボタニカルクッキング」で名高い。

 ミシュランの覆面調査員は厳格な調査ぶりで知られるが、ベイラ氏は「全くの無能」で「詐欺師」だと非難。ミシュランは商業的な理由から対立をあおりたいだけだと憤まんもあらわに主張し、ガイドへの掲載を拒否すると宣言した。

 ベイラ氏は既に首都パリに赴いてミシュラン編集部に直談判したが、ミシュランは11日、ラ・メゾン・デ・ボワのミシュランガイド掲載は続行する方針を明らかにした。(c)AFP/Odile DUPERRY with Fiachra GIBBONS in Paris