【7月11日 AFP】コパ・アメリカ(2019 Copa America)準決勝でブラジルに敗れたのは、判定で「重大かつ不快なミス」があったからだとアルゼンチンから批判されている審判が10日、同国は「バッドルーザー」だと反撃した。

【図解】VAR―サッカーの判定補助システム

 アルゼンチン代表と主将のリオネル・メッシ(Lionel Messi)は、0-2で敗れた準決勝で主審を務めたロディー・サンブラーノ(Roddy Zambrano)氏がPKを2回黙殺しただけでなく、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)に相談して確認することを拒否したとして激怒していた。

 エクアドルのラジオSuperK-800に対しサンブラーノ氏は、「起きたことに関して私は非常に冷静だ。自分の仕事はとてもクリアで、ベストを尽くそうと努めた」と話した。

 複数のブラジルメディアは、試合を観戦した同国のジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領の護衛チームの電波がサンブラーノ氏とVARの通信に干渉したと報じている。これに対しサンブラーノ氏は、「幸いにもピッチ上で話されたことや、VAR室で話されたことはすべて録音されている」と反論している。

 また、サンブラーノ氏は宿命のライバル同士の一戦を裁くということで、初めから自身は勝ち目のない状況にあったと話している。「難しい試合になることは分かっていた。敗れたチームが非難する対象を探すことになると知っていた。試合前からそのことは理解していて、犯人がわれわれ(審判団)になることは明白だった」

 バロンドール(Ballon d'Or)を通算5度受賞しているメッシは、試合後に南米サッカー連盟(CONMEBOL)がホスト国であるブラジルをひいきしていたとして不満を漏らした。

 この試合ではペナルティーエリア内でセルヒオ・アグエロ(Sergio Aguero)がダニエウ・アウベス(Daniel Alves)に倒された場面と、アルトゥール(Arthur Melo)がニコラス・オタメンディ(Nicolas Otamendi)の首に肩でチャージしたシーンでPKが与えられず、アルゼンチンの怒りを招いた。

 映像ではアウベスとアルトゥールに妨害行為があったように見え、アルゼンチンサッカー協会(AFA)のクラウディオ・タピア(Claudio Tapia)会長は、これらの場面でサンブラーノ氏が「不当にVAR判定の使用を拒否した」として批判した。

 これに対しサンブラーノ氏は、アグエロはボールを見ていて背後にいたアウベスを見ておらず、衝突した責任はアグエロにあったとしている。「なぜアグエロが無謀に突っ込んでいく様子がはっきりと見えるゴールの後ろからの映像を流さないのか」と反論したサンブラーノ氏は、両者の接触は「FW(アグエロ)の責任」とした。

 また、サンブラーノ氏はもう一つの場面は確認していないとした上で、VARがファウルと判定するのは不明確だとみなしたとし、「私が明らかなミスを犯さなかったのでVARは私にコンタクトする必要がなかった」と続けた。(c)AFP