【7月10日 AFP】ディズニー(Disney)の長編アニメ映画『ファインディング・ニモ(Finding Nemo)』の主人公「ニモ」のモデルとして人気の高まったカクレクマノミの卵が、夜間に人工の光にさらされるとふ化しなくなる可能性があることが分かった。研究者らが10日、発表した。

 豪フリンダース大学(Flinders University)のエミリー・フォバート(Emily Fobert)氏はAFPの取材に応じ、「カクレクマノミの稚魚は生まれた場所であるイソギンチャクにずっととどまるわけではなく、散らばって親魚から遠く離れた新しいすみかを見つけることができる」と指摘。

 カクレクマノミは一度自分のすみかを決めると、一生そこにとどまるという。

 カクレクマノミの卵は浅瀬の岩の側面に産み付けられることが多いが、それはすなわち、そこが発光ダイオード(LED)の光が海に差し込む港だったとすると、胚は成長する間に絶えず光にさらされることを意味する。

 研究チームはそのような状況を研究室で再現するため、繁殖周期の間、カクレクマノミのつがい10組を別々の水槽に入れて観察。うち5組は昼は明るく夜は暗い環境に置かれ、もう5組は人間の居住地と隣接するサンゴ礁付近の環境を再現した、夜間に上から薄暗いLEDライトを照らされる環境に置かれた。

 双方のグループは自然環境と同じように産卵し、受精率も標準的だったものの、夜間LEDライトを照らされた水槽でふ化した卵は皆無だった。

 研究チームは「適切な時間にふ化を促す環境的な合図として、暗闇が機能していることを実験結果は示唆している」とし、夜間常に人工光にさらされる環境では「ふ化は始まらない」と指摘した。

 世界中で多くの動植物が光害にさらされているが、成長や行動への影響についての研究はまだ始まったばかりだという。(c)AFP/Lynne SCHOEMAN