【7月10日 AFP】米政府が総額22億ドル(約2400億円)相当の武器を台湾に売却する計画を承認したことを受けて、台湾を自国領土の一部とみなす中国は9日、米国に「強烈な不満と断固たる反対」を伝え、同計画を「直ちに取り消す」よう要求した。最新鋭の戦車や携帯型地対空ミサイルなどの売却が含まれるこの計画をめぐり、米中の緊張がいっそう高まっている。

 米国防安全保障協力局(DSCA)によると、売却計画には主力戦車「M1A2Tエイブラムス(M1A2T Abrams)」108両と、携帯型地対空ミサイル「スティンガー(Stinger)」250発、またこれらの兵器の関連備品などが含まれる。

 中国外務省の耿爽(Geng Shuang)副報道局長は定例記者会見で、中国政府が外交チャンネルを通じて正式に米国の武器売却計画に対する「強烈な不満と断固たる反対」を伝えたと明らかにした。

 耿氏はこの武器売却計画は「一つの中国」の原則に反するもので、中国への甚だしい内政干渉だと批判。「中国は米国に対し、武器売却計画の早急な撤回を求めるとともに、米中関係を悪化させ、台湾海峡(Taiwan Strait)の平和と安定を揺るがすような米国と台湾の軍事関係も持つべきではないと強く促した」と述べた。

 一方、米国務省のモーガン・オータガス(Morgan Ortagus)報道官は報道陣に対し、台湾への武器売却によって北京が中国の唯一の政府であるという認識が変わることはないと述べた。「特に兵器の売却に関し、米国が台湾との関係に求めることは台湾海峡一帯と海域一帯の平和と安定だ」「従って米国の『一つの中国』政策に変更はない」と明言した。(c)AFP