【7月14日 AFP】米航空宇宙局(NASA)が、土星最大の衛星タイタン(Titan)に回転翼で飛行するクワッドコプターを送り込む計画を承認し、10億ドル(約1100億円)近い予算が投じられる――エリザベス・タートル(Elizabeth Turtle)氏(52)は6月26日、NASAが自身の計画にゴーサインを出したことを電話で告げられ大喜びした。

 だが、総重量590キロのドローン探査機「ドラゴンフライ(Dragonfly)」の打ち上げは2026年、地球から16億キロ離れたタイタンに着陸するのは早くて2034年の予定だ。

 これはかなり先の話で、15年にわたりタイタンの研究を続けてきたタートル氏はもどかしく感じているのではないだろうか。そう質問すると、米ジョンズ・ホプキンス大学(Johns Hopkins University)応用物理学研究所(Applied Physics Laboratory)の惑星科学者であるタートル氏は「やらなければならないことがたくさんあるので長いとは感じず、あっという間に過ぎるだろう」と述べた。

 さらに、タートル氏は「外太陽系は遠い所だ」と続けた。「外太陽系の探査には、ある程度の忍耐強さが求められる」

 惑星科学の研究速度は、その他の大半の科学分野とはまったく異なる。研究対象までの距離が非常に遠い上、送り込む無人探査機が非常に高度で複雑なため、研究者はほとんどの場合、ほんの数えるほどの探査計画に自分の生涯をささげることになる。