【7月10日 AFP】女子テニスの元世界ランキング1位、セレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)が9日、試合中の突然の激高が波紋を呼んだ2018年の全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2018)決勝について、試合後にセラピーを受診し、優勝した大坂なおみ(Naomi Osaka)に謝罪していたことを明かした。

 全米決勝でのセレーナは、コーチングの警告を取られたことをきっかけに感情のコントロールを失い、ラケットを破壊して1ポイント、さらには主審に「盗人」や「うそつき」などの暴言を浴びせて1ゲームを失うペナルティーを科され、大坂の四大大会(グランドスラム)初優勝に水を差した。

 その当時の状況について、セレーナはファッション誌の「ハーパーズ バザー(Harper's BAZAAR)」にエッセイを寄稿し、自分の言葉で語った。

 セレーナは「心の平穏が取り戻せず、セラピストを探し始めた」「答えを求めていた。前に進んでいる感覚はあったけれど、まだラケットを持つ気にはなれなかった」と話し、大坂に次のような謝罪のテキストメッセージを送ったことを明かした。

「あなたのことがとても誇らしい。そして本当にごめんなさい。自分の意見を主張したのは正しかったと思っていたけれど、私たちが敵同士みたいな書き方をメディアがしたのは想定外だった」「あの時間をもう一度やりなおせるならと思う。あなたのことがうれしいし、私はいつまでもあなたの味方」「ほかの女性、とりわけ女性黒人アスリートにスポットライトが当たるのを邪魔しようと思ったことは一度もない」

 そして大坂から謝罪を受け入れるという返事が届くと、セレーナは涙をこぼしたという。

 その一方でセレーナは、全米で受けたのは性差別だという主張は変えていない。

「男性なら熱くなっても情熱的な強い人間と見られるのに、なぜ女性だと感情的とか、クレイジーとか、理性に欠けるとかいうレッテルを貼られるのだろうか」「私と似た状況でも、抗議したのが男子選手なら、審判はまるで内輪のジョークを交わしているみたいに、笑顔を見せ、笑い声まであげるのを何度も目にしてきた」「ペナルティーを科すなと言っているのではなく、すべての人に同じ扱いをするよう求めている。だけど悲しいことに、私たちが今生きている世界はそういう場所じゃない」

 現在ウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2019)に出場中のセレーナは9日、準々決勝でアリソン・リスケ(Alison Riske、米国)を6-4、4-6、6-3で下し、4強入りを果たした。(c)AFP