■「世界の一員」になりたい気持ちの表れ

 マナー教室を主催するフランス人のギヨーム・ドベルナダック(Guillaume de Bernadac)さん(31)は、上海でこの分野の第一人者として知られている。

 ドベルナダックさんは、もともと留学生として中国にやって来た。2014年に「アカデミー・ド・ベルナダック(Academie de Bernadac)」を開校したが、受講者数は増え続けているという。最近では当局から、上海市全域の学校を対象としたプログラムの考案を打診された他、大人や民間企業を対象としたレッスンも行っている。

 ドベルナダックさんは、単に子どもたちに欧州のマナーを教えているだけではないと主張する。「外国へ行ったり、中国国内であっても国際的な環境に身を置いたりすれば、異なる文化に直面するかもしれない。私たちは適応するための鍵を教えている」と話す。

 ドベルナダックさんによると、正式な訓練を受けたわけではないが、曽祖父と大叔父は1920年代にモロッコで貴族の家庭教師をしていて、国王にも教えたことがあるという。

 ドベルナダックさんは、上海を含む中国主要都市で自身のマナー教室への関心が高まっているのは、この国が「世界の一員」になりがたっていることの表れだと指摘する。

■「完璧」になってほしい

 チェンさんは、一人娘に「完璧」になってほしいと望んでいる。「貴婦人のようで、運動や勉強もできる、多才な子になってほしい」と、流ちょうな英語で話した。

 ダニエルさんはこの他、水泳やピアノ、ダンスを習っているが、特にダンスがお気に入りだという。「娘とはよく話をして、(習い事が)好きかどうか聞いている」とチェンさんは言う。だが、人口約2500万人という中国最大の国際都市、上海で注目されるには「過酷な競争」に勝ち抜かなければならないと強調する。

 レッスンを終えた娘の隣に優雅に座るチェンさんは、このくらいの年齢の子どもは外で遊ばせた方がいいのではという懸念を一蹴する。「子どもは子どもらしくというのはもっともなことだが、少なくとも一定の規律は持つべきだ」「例えば、公共の場で大声を出したり叫んだりしてはいけない。そのような行為は非常に不適切だ」と語った。

 映像は6月1日撮影。(c)AFP/Peter Stebbings with Kelly Wang