【7月9日 Xinhua News】中日文化交流協定締結40周年を記念して東京・上野の東京国立博物館(Tokyo National Museum)で9日から始まる特別展「三国志」の開会式と内覧会が8日、同博物館の平成館で行われた。同展は東京国立博物館と中国文物交流中心、NHK、NHKプロモーション、朝日新聞社が共同で主催し、中国で近年発掘された最新の考古学成果161点を展示、「三国志」の世界の実像に迫る。

 同展では「リアル三国志」をテーマに多くの文化財を展示する。三国志研究で史上最大の発見とされる曹操(Cao Cao)の墓、河南省「曹操高陵」の出土品が海外で初公開されるほか、呉の皇族または貴族の墓とされる江蘇省「上坊1号墓」、後漢から三国時代にかけての兵器、三国時代の風土を垣間見ることができる陶俑などが出展される。

 博物館の銭谷真美(Masami Zeniya)館長は開会式のあいさつで、同展には中国18地域の50近い機関から貴重な文化財が出展されており、同博物館がこれまで開催した中国に関する展覧会の中でも最大規模になると説明。展示品の約85%は日本初公開で、両国が調査研究を重ねた成果を表すものだと強調した。

 同展の見どころの一つにリアルな展示がある。水上戦をイメージして天井に千本以上の矢を飛ばした武器の展示室や曹操高陵の墓室の実寸大展示など、迫力ある空間を楽しめる。ゲームシリーズ「真・三国無双」に登場する張飛の武器、蛇矛(じゃぼう)を「三国志演義」に記された長さで再現し、出土した蛇矛と比べることのできるコーナーもある。展覧会の各章冒頭には、横山光輝による漫画「三国志」の原画が展示され、会場内5カ所には人形美術家・川本喜八郎が1980年代のNHK「人形劇 三国志」のために制作した人形計9体が置かれている。

 「三国志」はなぜ日本で今も衰えることのない人気を誇っているのか。東京国立博物館東洋室の市元塁(Rui Ichimoto)主任研究員は新華社の取材に対し、三国志は日本で絵本や児童書を始め、小説、漫画、人形劇、ゲームなどに描かれ、青少年の心を掴んで発展を遂げてきたと指摘。人間味あふれる三国志の物語は、その根底に若者の好みに適合する要素を含んでおり、青少年の一生に深い影響を与えているとの考えを示す。物語の受け手は成長してやがて伝え手や作り手となり、その魅力も次世代へと「連環(れんかん)」していくのだという。

 中国文物交流中心の周明(Zhou Ming)副主任は、同展が中日両国の専門家の3年にわたる努力で実現した全く新しい形の展覧会だと説明する。特に曹操高陵など最新の考古学発見と研究成果が取り入れられている点を強調。同展が日本で新たな三国志ブームを起こし、三国時代の歴史に対する新たな深い発見の手助けになると信じていると述べた。

 中国の郭燕(Guo Yan)駐日首席公使は、三国時代の歴史は中日両国でともに良く知られており、今回の展覧会が日本人の中国の歴史と文化に対する理解を必ずや増進させ、両国人民の友好的な感情と相互理解をさらに深めると確信していると述べ、中日両国は協力を一層強化し、文化交流を盛んにすべきだとの考えを示した。 

 東京での展覧会は9月16日まで。その後は会場を福岡県の九州国立博物館に移し10月1日から2020年1月5日まで開催される。主催者は、選りすぐりの文化財と最新の研究成果を通じて日本でも人気の高い三国志の実像に迫り、これまでのイメージを超えた考古学の目線ならではの新たな三国志像の構築を目指すとしている。(c)Xinhua News/AFPBB News