【7月8日 AFP】ネパールで開催される予定だった、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ(Dalai Lama)14世の84歳の誕生日を祝う式典が、ネパール政府が許可しなかったために中止された。政府関係者らが7日、明らかにした。隣国ネパールに対する中国の影響力が強まっていることが示された形だ。

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 ネパールには約2万人の亡命チベット人がいるが、中国政府の圧力を受け、共産主義政党を主とする現ネパール政権は亡命チベット人の活動に対して強硬姿勢を強めている。

 ダライ・ラマの誕生式典は6日に中止された。首都カトマンズ市当局者のクリシュナ・バハドゥール・カトワル(Krishna Bahadur Katuwal)氏は、「平和と安全に関わる問題になりかねないため、(式典開催の)許可が出なかった」と説明した。カトワル氏はAFPに対し、「何も起こらないかもしれないが、不適切な活動や焼身自殺の可能性にさえも警戒しなければならない」と述べた。

 中国は貧困国ネパールにとって最大の開発支援パートナーであり、昨年度は水力発電や道路などのインフラに6000万ドル(約65億円)近くを拠出した。

 ネパール政府は2017年5月に、中国政府の大規模な経済圏構想「一帯一路(One Belt One Road)」への協力に関する合意文書に署名。一方で批判勢力からは、世界的な影響力を拡大しようとする中国の動きの核にあるのが一帯一路構想だとの指摘が上がっている。(c)AFP