【7月8日 AFP】タンザニアにあるアフリカ最高峰キリマンジャロ(Kilimanjaro)にケーブルカーを設置する計画をめぐり、推進派の観光相と、環境担当の国務相との対立が7日、明らかになった。

 ケーブルカー設置計画は今年4月、キリマンジャロを訪れる観光客を増やす政策の一つとして、ハミス・キグワングワラ(Hamis Kigwangalla)天然資源・観光相が発表したもの。現在、観光省の推進するプロジェクトの実行可能性調査が行われており、報道によれば、中国企業1社と欧米企業1社がそれぞれ関心を示している。

 しかし、ジャニュアリ・マカンバ(January Makamba)環境担当国務相は7日、ケーブルカー設置の潜在的リスクを調査した上でプロジェクトの実行許可を出すかどうかは、環境庁の管轄だと主張。「われわれが調査検討を行い、どんな環境リスクがあって、どのようなリスク軽減策が取り得るかを決定する」と、フォロワー約70万人を有するツイッター(Twitter)上で言明した。

 この投稿に、キグワングワラ氏は激しく反発。「われわれ(観光省)が環境保護法を考慮することなくプロジェクトを立ち上げられるとでも思っているのか?」「ケーブルカー1本がどんな悪影響を環境に及ぼすというのか。この国では、年間35万ヘクタール以上もの森林が消滅している。どちらがより深刻か」などと述べ、同じ与党出身のマカンバ氏に反論。マカンバ氏の動機や、国務相として優先すべき課題に疑義を呈した。

 マカンバ氏は、単に法に定められたことをそのまま口にしただけだと反論し、「わが尊敬すべき同僚を相手に、公の目に触れるところで反論したり、議論したり、非難や攻撃をしたりするのは、私にとっては未熟な行為といえる」などと述べた。

 標高6000メートル近いキリマンジャロには年間約5万人の登山客が訪れるが、観光省はケーブルカーの設置によって登山が無理な観光客を誘致し、「アフリカの屋根」の異名を持つ名高い山頂への訪問者数を50%増加させることができると期待している。

 ケーブルカー計画をめぐっては、登山客の荷物を運ぶポーターらの団体が、生活できなくなる恐れがあるとして強く反発している。(c)AFP