【7月8日 AFP】アフリカ各国は7日、ニジェールの首都ニアメーで開催されたアフリカ連合(AU)サミットで、アフリカ大陸自由貿易圏(African Continental Free Trade AreaAfCFTA)設立協定の「運用段階」を正式にスタートさせた。アフリカ大陸の「平和と繁栄」に向けた歴史的な一歩と称賛された念願の画期的な協定が、2002年のAU発足後17年に及んだ厳しい交渉の末に動き出した。

 AUのムーサ・ファキ・マハマト(Moussa Faki Mahamat)委員長は「歴史的な」瞬間だと称賛した。AUの事務局であるAU委員会(AU Commission)は、参加国が共通の「原産地規則、非関税障壁の監視と撤廃、統一デジタル決済システム、そしてアフリカの貿易を監視するダッシュボード」に関して合意したと説明した。

 7日朝、2日間の日程で開催されたサミットでナイジェリアとベナンの大統領が合意文書に署名すると、会場に拍手喝采が上がった。この2国を含め、AU加盟55か国(モロッコからの独立を宣言している西サハラを含む)のうち54か国が協定に合意した。残る1か国であるエリトリアは、協定参加を検討すると発表している。

 AfCFTAの下での貿易は来年7月1日に始まる。ニジェールのマハマドゥ・イスフ(Mahamadou Issoufou)大統領は、参加国が準備するための時間を確保したと述べた。

 マラウイ産業・貿易・観光省のクリスティナ・チャティマ(Christina Chatima)貿易局長はAFPに、この協定は「アフリカに大変革をもたらす」との見方を示し、「われわれの大多数は欧米諸国と貿易している。アフリカ内でもっと貿易をする時が来た」と語った。

 AfCFTAでは今後5年以内に、参加国の大多数が関税を90%カットすることになっている。大陸内貿易の障壁を少なくするのが狙いだ。なお、マラウイのチャティマ貿易局長によると、国連(UN)の後発開発途上国(LDC)リストに入っている国には10年、ニジェールやマラウなど6か国には少なくとも15年の関税引き下げの猶予期間を設ける。

 コンサルティング会社ユーラシア・グループ(Eurasia Group)のアフリカアナリスト、アマカ・アンク(Amaka Anku)氏は、この協定が前向きな一歩であることは確かだが、新協定の下での新たな規制機関のうち、資金を確保できるものが幾つあるかという懸念があり、AfCFTAが「離陸するまでには長い期間」を要すると指摘した。

 AUは、この貿易協定によって2022年までに域内の貿易が60%増加すると推計している。現時点では欧州との貿易が65%を占めているのに対し、AU域内の貿易は約16%にとどまっている。(c)AFP/ Emmanuel AKINWOTU and Patrick FORT