【7月8日 AFP】リビア沖の地中海で救助した移民65人を乗せ、マルタへ向かっていたドイツのNGO「シーアイ(Sea-Eye)」の移民救助船アラン・クルディ号(Alan Kurdi)について、マルタのジョゼフ・ムスカット(Joseph Muscat)首相は7日、移民全員を欧州連合(EU)諸国に移送すると発表した。

 シーアイの声明によれば、アラン・クルディ号はマルタの首都バレッタへの入港を拒否され、7日夜に移民65人全員がマルタ海軍の哨戒艇に移されたという。

 アラン・クルディ号はイタリア・ランペドゥーサ(Lampedusa)島沖で数日待機していたが、伊船籍の移民救助船アレックス号(Alex)が同島への入港を強行した後、マルタへ向かった。アレックス号の強行入港を受け、イタリアのマッテオ・サルビーニ(Matteo Salvini)副首相兼内相は、「当局の許可なしにイタリア領海に侵入した」船舶の船長に科す罰金を最高5万ユーロ(約609万円)から最高100万ユーロ(約1億2200万円)に引き上げると宣言していた。

 ムスカット首相はツイッター(Twitter)への投稿で、欧州委員会(European Commission)と独政府と協議した結果、移民65人の身柄をアラン・クルディ号からマルタ軍の艦船に移した後、マルタ入りさせることになったと説明。「救助された移民は全員、ただちに他のEU加盟国に移送される」と述べた。

 また、独フンケ・メディアグループ(Funke)によるとホルスト・ゼーホーファー(Horst Seehofer)独内相は、アラン・クルディ号の移民15~20人とマルタ当局が7日に救助した移民、合わせて最大40人をドイツに受け入れる方針を示したという。

 マルタ当局は同日、自国の海域から発信された救難信号を受け、移民50人を救助していた。

 イタリアのエンツォ・モアベロ(Enzo Moavero)外務・国際協力相と、マルタのカルメロ・アベーラ(Carmelo Abela)外務・貿易振興相は共同声明で、移民危機への「場当たり的」な対応を非難し、「移民をめぐってあらゆるデリケートな問題に直面しているEUとしての永続的なメカニズム」を今月開かれるEU外相会議で協議するよう求めた。(c)AFP