【7月10日 Xinhua News】中国天津市(Tianjin)の経済技術開発区にある泰達国際心血管病医院で5日、「新たな命を祝う会」という特別な催しが開かれた。会の主役は39歳の李さん(男性)と62歳の高さん(女性)。拡張型心筋症のため100日余り前には命の危険に直面していた2人を救ったのは、中国が独自開発した人工心臓だった。

 劉暁程(Liu Xiaocheng)院長によると、手術が行われたのは3月15日と19日。人道機器適用免除(HDE)申請により倫理審査をパスし、完全な独自知的財産権を持つ人工心臓「HeartCon心室補助装置」を李さんと高さんの体内に植え込むことに成功した。特に身長145センチ、体重43キロの高さんは、これまで国内で行われた心室補助装置の植え込み手術の中でも最高齢かつ最も体重の軽い患者であり、また中国で初めて左心補助装置の植え込みに成功した女性患者となった。

 今回の手術では、重さわずか180グラムのチタン合金製の装置が完全に患者に適合するかが、手術と術後ケアにおける医療チームの最大の試練だった。幸いにも患者2人の心不全症状は手術直後から改善が見られた。リハビリにより2人は自力で日常生活を送れるようになったばかりか、39歳の李さんはランニングマシンで毎日40分以上運動している。李さんは「治療前は話をするのも疲れましたが、今では毎日2万歩以上歩けるようになった」と語る。

 中国には多くの心不全患者がいる。終末期心不全にとって心臓移植は比較的望ましい治療方法だが、ドナー不足のためとうてい患者のニーズを満たすことができない。「人工心臓」は心臓移植以外で最も効果的な心不全の治療手段であり、欧米諸国では既に広く実施されている。

 同院は2009年に中国運搬ロケット技術研究院(CALT)と共同で心室補助装置の研究を始め、2013年には第3世代植込型心室補助装置「HeartCon磁気浮上遠心血液ポンプ」を植え込んだ実験用のヒツジ「天久」が、泰達国際心血管病医院の動物実験センターで120日間健康に生き続けた。

 中国運搬ロケット技術研究院第18研究所の朱成林(Zhu Chenglin)所長は「中国自身が開発し、普通の人々にも手の届く価格の『人工心臓』を開発したい」と語る。今回応用に成功したHeartCon製品は本体がチタン合金製で、完全非接触の磁気浮上型ホンプを採用。主な指標は世界の先進レベルに達しているという。

 劉氏は「磁気浮上型ホンプは機器の摩耗もなく、理論上は数十年間使える」と述べ、手術の成功と術後の血液ポンプの正常動作は、中国の心室補助装置の開発技術と性能が、同種の人工心臓の国際水準に達したことを証明していると語った。(c)Xinhua News/AFPBB News