【7月6日 AFP】米雇用コンサルティング会社チャレンジャー・グレー&クリスマス(Challenger Gray & Christmas 本社 シカゴ)が今週発表した調査によると、報道機関の人員削減や廃業が相次いでいることで、不振に陥っている米メディア産業の今年の解雇者数は過去10年間で最悪となる恐れがある。

 この調査によると、映画、テレビ、出版、音楽、放送、紙媒体の報道などのメディア企業は、今年これまでに7775人の人員削減を発表。うち3600人以上を報道機関が占めた。前年(2018年)は、6月末までのメディア企業の人員削減数は6435人、通年では1万5474人で、うち報道機関は1万1878人だった。

 同社のアンドルー・チャレンジャー(Andrew Challenger)副社長は、「広告収入によって無料で公開されているニュースへの消費者の需要に応えようとするビジネスモデルで、多くの職が既に危険にさらされている」と述べ、多くの報道機関が有料化を試みる一方で、読者は無料のニュースに流れていると指摘した。

 同社の調査報告によると、メディア企業はサイト訪問者の関心に基づいた広告の表示において、フェイスブック(Facebook)やグーグル(Google)に遅れを取っており、オンラインから収益を得ることに苦戦している。

 チャレンジャー氏はまた、購読料収入に基づくビジネスモデルは、消費者が重要で価値があると認めるニュースを報道機関が提供する場合にのみ成立すると指摘。

 同氏は、メディア企業がフェイスブックやグーグルのようにユーザーの個人データを活用して利益を生み出そうとする可能性もあるが、全米各地でプライバシーに関する法律が成立し始めていることから、法的な問題が生じる恐れもあると指摘。「ついには、ユーザーがお金を払わないことで、国内の報道の質は低落の道をたどり始めるだろう」と述べた。(c)AFP