【8月9日 CNS】中国・発展改革委員会と交通運輸部によると、2日時点で、中国のETC(自動料金収受システム)ユーザー数は1億人を超え、目標に対する達成度は55.56%となった。「2019年末までに中国全土のETCユーザー数が1億8000万人を超える」という目標達成のためには、年末までの数か月間に約8000万台の車にETCを付けなければならないということになる。

 また、ETCは日常的な決まったルーチンの決済行為で顧客の忠実度が高いため、銀行だけでなく、第三者決済機構も参入して激しい顧客争奪戦となっている。

 正常走行の場合、ETCを付けた場合の乗用車のゲート通過時間は、付けない場合の15秒から2秒に短縮可能で、トラックの場合は29秒から3秒になる。政府によると、ETCの普及によって高速道路の通行効率が向上し、物流コストの低減や、省エネと排ガス減少ができることになる。

 銀行の立場から見ると、政府の一連の奨励策により車のオーナーはETC搭載を喜んで進めるだろうし、銀行や第三者決済機構がこの1億人以上の顧客を獲得できるチャンスをみすみす見逃すはずがない。

 ある都市銀行の従業員によると、一部門のETC顧客獲得目標は1日10人だという。ETCの争奪戦は、大都市だけでなく山岳地帯にも及ぶ。ある地区の農業銀行の経理担当者によると、本店から1四半期あたり100件の新規ETCビジネスを獲得するよう求められており「今の重要な仕事は、車の所有者を探してETCを設置させることだ」と話す。

「今月は、ETC手続きのために銀行のカウンターまでやって来る顧客が増えた」とある銀行の行員は語る。「これまで、ETC業務は推進が難しく、まず顧客を分析し、こちらから顧客に売り込みをかけなければならかった。手続きも煩雑だったが、今は改善され、30分で終わる。顧客が車で来れば、直接ETCの車載器を据え付けも可能」

 第三者決済機構も参入を始めている。支付宝(アリペイ、Alipay)は先月、中国郵政貯蓄銀行(Postal Savings Bank of China)と提携してETC業務の無料サービスを打ち出した。オンラインで申請し、ETCで高速道路料金を支払うとポイントが付く。口座明細の確認や、電子領収書や口座変更手続きなど全てアリペイのアプリ内で手続きを完了できるとしている。

 銀行や大手の決済機構各社がETCをこれほど重視する理由は、ETCの背後に多くの応用シーンが控えているからだという。駐車場料金、セルフ給油、セルフ洗車の支払いなど、高速道路料金だけでなく、その先にある種々の決済ビジネスこそが真の狙いなのだ。(c)CNS/JCM/AFPBB News