【7月4日 AFP】英競売大手クリスティーズ(Christie's)は4日、古代エジプトの少年王、ツタンカーメン(Tutankhamun)の3000年前の頭像の競売を、予定通り同日ロンドンで実施する。これについては先にエジプト政府が抗議し、近年で最大の論争に発展している。

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 高さ28.5センチ、珪岩(けいがん)製のこの像の落札価格は400万ポンド(約5億4200万円)を上回ると、クリスティーズは予想している。

 この有名な少年王の頭像は、古代美術の個人コレクションであるレザンドロ・コレクション(Resandro Collection)からの出品。クリスティーズが2016年に同コレクションの収蔵品をオークションにかけた際には、300万ポンド(現レートで約4億600万円)で落札されている。

 これについてはエジプト政府関係者らが怒りを示し、競売の中止と像の返還を要請していた。外務省は3日、クリスティーズの決定は「国際的な合意や条約に反する」と指摘した。

 エジプト元考古相のザヒ・ハワス(Zahi Hawass)氏はAFPの取材に対し、この像は1970年代にカルナック神殿(Karnak Temple)から「盗まれた」とみられるとの見解を示している。

 一方クリスティーズは、長年その存在が「よく知られ、公にされてきた」像に対し、エジプトがここまでの懸念を示したことは過去になかったと反論している。(c)AFP/Dmitry ZAKS