【7月4日 AFP】北朝鮮は3日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-un)朝鮮労働党委員長との首脳会談を呼び掛けたまさにその日に、米国が北朝鮮人労働者の本国送還を求める書簡をすべての国連(UN)加盟国に送っていたと主張し、不満をあらわにした。

 北朝鮮国連代表部は米英仏独の4か国が国連の全加盟国に送った書簡について、米国は対話を求めるとしながらも、実際は北朝鮮に対する「敵対的行為に一層躍起になっている」と主張した。

 北朝鮮側は書簡が送られた日付について、トランプ氏が韓国と北朝鮮を隔てる軍事境界線沿いの非武装地帯(DMZ)訪問中、金氏と握手してあいさつしたいとツイッター(Twitter)に投稿した6月29日だったと主張。トランプ氏が米朝首脳会談を提案したまさにその日に書簡が送られたことは、「看過できない」と述べた。

 しかし、この書簡が実際に送られたのは6月27日で、内容は2019年末までに制裁を履行し、北朝鮮人労働者全員を本国に送還するよう全国連加盟国に求めるものだった。

 国連の専門家の推定によると、北朝鮮は毎年、数万人の労働者を国外に派遣。主に中国とロシアで奴隷のような環境で働かせ、外貨獲得源としている。

 北朝鮮国連代表部は「わが国は制裁解除を渇望していない」と主張し、制裁を万能の解決策とみなしているのは「非常にばかげている」と米国を批判した。

 国連制裁決議は、北朝鮮人労働者との新規契約を全面的に禁止し、全加盟国は既存の北朝鮮人労働者を2019年末までに本国送還すると規定。AFPが書簡の内容を確認したところによると、北朝鮮人労働者送還の最終期限は12月22日だった。

 書簡によると、北朝鮮人労働者の送還に関する中間報告を行った国は、わずか34か国にとどまっている。(c)AFP