【7月3日 AFP】米南部バージニア州シャーロッツビル(Charlottesville)市は1日、地元出身の第3代大統領トーマス・ジェファソン(Thomas Jefferson)の誕生日について、今後は休日として祝わないと決定した。同市広報が2日、明らかにした。

 ジェファソンは米国独立宣言(US Declaration of Independence)の起草者で、シャーロッツビル出身で最も有名な人物。

 広報責任者のブライアン・ウィーラー(Brian Wheeler)氏によると、シャーロッツビル市議会は1日夜、南北戦争(American Civil War)末期に北軍によってシャーロッツビルが解放された日を代わりの休日とする条例案の採決を行い、賛成4、反対1で可決した。

 この経緯に関する公式な説明はないが、ウェス・ベラミー(Wes Bellamy)市議はこの条例案の審議中の6月17日、なぜ黒人を劣っていると考えていた人物を市が称賛しなければならないのかと疑問を呈していた。

 ニカイア・ウォーカー(Nikuyah Walker)市長によると、シャーロッツビルを含むアルベマール(Albemarle)郡は南北戦争勃発当初、人口の半分以上が奴隷だったが、北軍による解放後、1万4000人が自由の身となった。

 ただ1人反対票を投じたキャシー・ガルビン(Kathy Galvin)市議は、ジェファソンの功績は顕彰に値すると主張して擁護した。

 今回のジェファソンに対する仕打ちは、2017年の若い女性1人が死亡した白人至上主義団体と反対派の衝突をきっかけに、シャーロッツビルが伝統の再評価を推し進める中で起きた。

 この右派系デモ「ユナイト・ザ・ライト・ラリー(Unite the Right Rally)」の表面上の目的は、南北戦争の南軍司令官、ロバート・E・リー(Robert E. Lee)将軍の像の撤去に反対するものだった。

 しかしシャーロッツビルはこの事件で、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の下で勢いを増しているようにみえる白人至上主義運動の象徴となった。トランプ大統領はこの事件について、「多方面」に責任があると述べていた。

 連邦裁判所は6月28日、この右派系デモに抗議する群衆に車で突っ込み当時32歳だったヘザー・ハイヤー(Heather Heyer)さんを殺害したとして、憎悪犯罪(ヘイトクライム)の罪でジェームズ・アレックス・フィールズ・ジュニア(James Alex Fields Jr)被告(22)に終身刑を言い渡した。

 フィールズ被告は州裁判所で第一級殺人罪にも問われており、7月中に判決が言い渡される。(c)AFP