【7月6日 CNS】「米国で太極拳の人気はますます高まっています。太極拳はいま、国際化の時代を迎えました」――。米国に10年以上在住し、呉式太極拳の5代目継承者である呉阿敏(Wu Amin)さんは、北京でこう語った。

 呉さんは幼少期から武術を学び、北京体育大学武術科で太極拳を専攻。全国武術大会で太極拳、剣、推手(太極拳の基本動作)の総合チャンピオン、国際武術大会で女子陳式太極拳チャンピオンなど、数多くの栄誉を手にした。大学卒業後はCCTVの番組で太極拳の講師を務め、十数年前に拠点を米国に移した。

 最初に米国で太極拳を教えようとした時、戸惑いもあった。「米国で太極拳はずいぶん前から広まっていましたが、自宅や公園で教えたりして、あまり本格的ではない。学んでいる華人も中高年が多かったですね」

 米国で多くのカンフー映画が爆発的人気を得たことでカンフーを学ぶことが流行しており、呉さんが主宰した太極拳クラブには徐々に地元の人々が集まるようになった

「太極拳には2つの特徴があります。一つ健康管理の手段、もう一つは武術の要素です。ですので、太極拳を習いたい人も2つのグループに分かれます。武術を学びたいグループは華人、欧米人、メキシコ人、日本人、韓国人、インド人、インドネシア人など、多様な国の人がいて年齢層もかなり若い。もう一つのグループは主に医師。彼らは太極拳を学び、体に良いと感じたら自分の患者たちに勧めるんです」

 中国文化の国際的影響力が広がる中、米国のシリコンバレーにある複数のIT企業はカンフーコースを開講し、呉さんを講師として招いている。「グーグル(Google)とユーチューブ(YouTube)で教えています。週1回で、1クールは3か月間。こうした企業はたくさんのスポーツコースを持っていますが、太極拳コースだけは毎回最初から満員になり、多くの人が次のクールのコースも申し込みます。IT企業の若いエンジニアたちが非常に夢中になっている。だから今こそ太極拳が国際化する良い機会です」

 6月26日は北京で「中国太極拳英雄擂推手大会」の発表会が行われた。大会組織委員会は7月に海南島(Hainan Island)の3つの観光名所の南山、天涯海角、蜈支洲島で開催すると発表。会場に招待された呉さんは「海南の美しい海と空一色の環境が、人々に太極拳の『天人合一』精神をより伝えることができる。時間が許せば、審査員として出席したいですね」と述べた。(c)CNS/JCM/AFPBB News