【7月16日 AFP】3人の男性は事故をでっち上げるのに忙しくて、自分たちがまさに阻止しようとしていた中国の悪名高い収容所に向かう外国人記者らに気付かなかった。

 小型トラックが路上に止めてある乗用車にゆっくりと近づき、衝突する寸前に止まる――そこを外国人記者らが車で通り過ぎた。その後、この「事故」により高速道路にトラックの列ができ、やじ馬が殺到し、警察が交通を遮断し、収容所に向かう道路が封鎖された。

 今回の試みは失敗したものの、この出来事は新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)で取材を行う記者らを妨害するためなら、どのような手間も惜しまないという中国当局の姿勢を明確に示している。

 中国北西部に位置する同自治区では、住民の大部分を占めるイスラム教徒の少数民族が「再教育施設」に収容されている。

 中国は当初、「職業教育センター」と名付けた収容所の存在を否定していた。世界中から批判の声が上がったことを受けその存在を公にしたが、宗教的過激主義と戦うために必要だと弁明している。

 AFPは最近、新疆ウイグル自治区に6日間滞在し、有刺鉄線で囲まれたコンクリートブロックの人目を引く3か所の収容施設を取材することができた。

 新疆政府は昨年10月から、外交官やメディア各社向けの収容所見学ツアーを開始した。だが、記者らはほぼ常に私服を着た当局者に尾行されており、地元住民を危険にさらすことなく話を聞くことは困難で、独自取材は非常に難しい。

 記者らが再教育施設に近づこうとするたびに、突然バリケードが築かれたり工事が始まったりすることも頭痛の種だ。

 AFPがホータン(Hotan)にある収容所に近づこうとした時にも、後ろからついてきていた車両が突然スピードを上げて追い越したかと思うと、路上に規制線が張られた。結局、遠くから施設の写真を撮影するしかなかった。