【7月2日 AFP】米国は1日、民間航空への補助金をめぐって長年対立している欧州連合(EU)への圧力を強めるため、EUに対して発動を検討している追加関税の対象品目をさらに40億ドル(約4300億円)相当拡大する方針を明らかにした。

 米通商代表部(USTR)は今年4月に210億ドル(2兆3000億円)分の対EU追加関税対象品目リストを公表しており、今回さらに40億ドル分、89品目を追加した形。新たな対象品目はスコッチおよびアイリッシュウイスキー、ソーセージやハムなどの食肉加工品、さらにはパスタ、オリーブ、パルミジャーノ・レッジャーノやゴーダといったチーズなど広範囲にわたる。

 USTRは対象品目拡大の理由について、「大手民間航空に対するEUの補助金」だと指摘。米国とEUは米航空機大手ボーイング(Boeing)、欧州航空機大手エアバス(Airbus)への補助金をめぐって対立を続けている。

 航空大手2社への補助金をめぐる両者の対立は過去14年以上にわたって続いており、世界貿易機関(WTO)が扱う中でも最も長期で複雑な紛争となっている。特に現米政権を率いるドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は自国に不利と見なした貿易相手に対しては強硬な姿勢を貫いており、最近では中国との貿易戦争で多額の追加関税を発動するなど、対抗措置として関税を用いることを好む傾向がある。(c)AFP