【7月2日 AFP】テニスのウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2019)では、今大会から審判が各ゲームや試合の終わりに女子選手の名字に敬称をつける習慣がなくなり、名前の呼び方は男子選手と足並みをそろえた形となっている。

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 ウィンブルドンでは数十年前から、女子選手の名前に「ミス」や「ミセス」などの敬称をつけて呼ぶことが見慣れた風景となっていた。しかしながら、1日に開幕した2019年大会ではその慣習が廃止された。

 主催者のオールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ(AELTC)はAFPの取材に対し、「敬称の使用をやめるのは、各ゲームと各試合の終わりにスコアをコールするときのみ」と公表した。

 テニスツアーでは男女ともにコードバイオレーション、メディカルタイムアウト、チャレンジの際に敬称が使われており、この点に関しては継続されていく。

 一方、女子の歴代優勝者の名前が刻まれたボードには、前年女王のアンゲリク・ケルバー(Angelique Kerber、ドイツ)が「2018 Miss A. Kerber」と書かれているように、今年の優勝者にもミスやミセスがつけられるといい、大会の広報担当者は「単に男子と同じ扱いにするための措置」と説明している。

 国際テニス連盟(ITF)の広報担当者は、「四大大会(グランドスラム)のルールブックには、女子選手の呼び方に関して特に記載はない。判断は各グランドスラムに任されている」とすると、「私が知る限りでは、過去に女子選手の名字に敬称をつけていたのはウィンブルドンだけで、今は他のグランドスラムに足並みをそろえている」と述べた。

 男子の世界ランク1位で前回覇者のノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)は、グランドスラムで最も伝統を重んじるウィンブルドンで今回の変更が行われたことに、「何とも言えない」と驚いていた。

「ウィンブルドンの伝統は非常に独特で特別な印象があり、それは良いことだと思っていた。どういう理由だろう?」「男子サイドから何か苦情があったのかな?」

 米国の強豪で第17シードのマディソン・キーズ(Madison Keys)は、平等に関してテニス界は優れているという認識を示しており、「テニスが女子スポーツ界で最も平等という観点ではとても満足。もっと平等になれるし、もっと同レベルにすることができると確信している」と語った。

「だけど、今はとても良い足跡を踏んでいるし、その機会をたくさん増やしていけると思う」

 英国のヘザー・ワトソン(Heather Watson)は今回の動きを歓迎しながらも、キャサリン・マクナリー(Catherine McNally、米国)に勝利した1回戦では、今回の変更を認識しておらず、「平等はいつだって歓迎。試合ではそのことに気づかなかったけど」と明かした。(c)AFP/Robin MILLARD