【7月1日 AFP】米ニューヨークで6月30日、毎年恒例の性的少数者の祭典「プライド」パレードが開催され、沿道を埋めた主催者推計300万人の支援者や観衆が虹色の旗を振る中、約15万人の参加者が思い思いの格好で行進した。

 今年は、同性愛者の権利を訴えるゲイ・プライド運動の発端となった「ストーンウォールの反乱(Stonewall Uprising)」がニューヨークで起きてから50年の節目の年。2020年米大統領選の民主党の有力候補者で同性愛者の権利擁護を主張しているビル・デブラシオ(Bill de Blasio)市長は「世界史上、最も素晴らしいプライドの祝祭」になると事前に語っていた。

 当日は晴天に恵まれ、蒸し暑さの中、プライド運動を象徴する虹色を身に着けた参加者らは、観衆の口笛や拍手に包まれて市内をパレードした。

 参加者の奇抜で露出度の高い衣装が有名な、華やかなプライドパレードだが、由緒は真剣で重い。1969年6月に起きたストーンウォールの反乱は、市内グリニッチビレッジ(Greenwich Village)の人気ゲイバー「ストーンウォール・イン(Stonewall Inn)」に対する警察の執拗(しつよう)な取り締まりがきっかけで起きた暴動で、LGBTQ(性的少数者)の市民権運動の転換点となった。

 その1年後に始まったプライドパレードは伝統行事となり、今や世界各地に波及。暴動の発生日「ストーンウォール・デー(Stonewall Day)」を記念して毎年開催される「ニューヨーク・ゲイ・プライド(New York's Gay Pride)」月間は、観光の呼び物として多くの人が集まり、政治家やセレブらも参加するイベントとなっている。今年は「ワールド・プライド(World Pride)」の名称で、世界中から参加者を募った。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の共和党政権の誕生によって、LGBTQコミュニティーへの差別が再び公然と行われるようになったと批判される中、今年のパレードでは「反トランプ」のプラカードを掲げ、トランスジェンダー(性別越境者)の権利から移民問題までトランプ政権のあらゆる政策を非難する参加者の姿が目立った。(c)AFP/Catherine TRIOMPHE