【6月30日 AFP】英ロンドンで行われた米大リーグ(MLB)のボストン・レッドソックス(Boston Red Sox)対ニューヨーク・ヤンキース(New York Yankees)の歴史的な一戦は、17-13でヤンキースが勝利する異例の打ち合いとなった。ヤンキースのアーロン・ブーン(Aaron Boone)監督は、「いつも30点が入るわけではない」と新たな野球ファンに向けて語りかけている。

 大リーグ史上初の欧州開催となったロンドン・スタジアム(London Stadium)でのゲームは、チケット完売の満員の観客にとってもおなかいっぱいの一戦となり、両軍合わせて6本塁打、37安打が飛び出した。得点は初回だけで12点が入り、ゲームセットには4時間42分を要する長丁場の試合となった。

 しかし、観客は満足して家路についたようだが、通常の野球はここまで派手な得点経過になることはめったになく、ブーン監督もこれが野球本来の姿ではないと話している。

「実際、その点は試合中に考えた。観客の方を見てこう思ったんだ。みんな『これは長すぎる』と思っているに違いないとね」「ただ、クリケットは週末を通じて試合が続くこともあるんだろう? 多くの人はそれに慣れている。きょうは多くの優れたバッターが素晴らしいバッティングをし、それにいくつか守備でのファインプレーも見られた」

「ただ観客のみなさんには、毎試合30点入るわけではないということは言っておかなくてはならない」

 対するレッドソックスは、6-17と大量リードを許しながら、終盤に反撃して最終回まで勝負が分からない展開に持ち込んだものの、ア・リーグ東地区のライバル相手に悔しい敗戦となった。アレックス・コーラ(Alex Cora)監督も歴史的な状況を楽しんだ一方、ワールドシリーズ連覇を目指すポストシーズン進出に向けて手痛い一敗を喫したことにはフラストレーションを感じている。

 コーラ監督は「ファンが夢中になる、攻撃に夢中になれる試合だったと思う」「アウトを取り、ビッグイニングを避けるという意味で、われわれとしては課題の残る試合だった」とコメントした。

 大量得点が生まれた背景には、仮設グラウンドの狭さが影響していたことは間違いない。中堅フェンスまでわずか117メートルというのは、メジャーの球場としては最短。球足の速い人工芝のグラウンドも打線が爆発した要因となり、そこに厳しい暑さと投手陣のふがいなさも手伝って、打者にとっては天国のような状況が生まれた。

 MLBの試合で、両チームに初回に6点ずつが入ったのは30年ぶりで、ヤンキースは田中将大(Masahiro Tanaka)、レッドソックスはリック・ポーセロ(Rick Porcello)が先発のマウンドに上がったが、両チームの伝統の一戦で先発投手がどちらも1回もたずに降板したのは、史上初めてだった。このカードでの合計30点も、史上2番目に多い数字となっている。

 また、試合は英王室のヘンリー王子(Prince Harry)とメーガン妃(Meghan, Duchess of Sussex)も観戦に訪れ、MLBの英初上陸に高貴な趣を添えた。(c)AFP/Steven GRIFFITHS