【6月29日 AFP】欧州連合(EU)と南米の関税同盟、南部共同市場(メルコスル、MERCOSUR)は28日、自由貿易協定(FTA)の締結で合意した。約20年にわたる交渉の末、世界最大規模の自由貿易市場が誕生する。

 アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイが加盟するメルコスルとEUは、20年近くにわたり交渉を続けてきた。欧州の農家が抱く牛肉市場に対する懸念から、交渉はたびたび中断された。

 今回の合意は、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米政権が中国との貿易摩擦やEU諸国との対立など、複数の2国間紛争を繰り広げる中で実現した。

 欧州委員会(European Commission)のジャンクロード・ユンケル(Jean-Claude Juncker)委員長は声明で「歴史的瞬間」とし、「国際的に貿易の緊張が高まる中、われわれはきょう、メルコスル加盟国と共にルールに基づく貿易を支持するという強いサインを送っている」と述べた。

 ユンケル氏は、この貿易協定はEUがこれまでに結んだ中で最大と指摘。欧州企業は年間40億ユーロ(約4900億円)以上の恩恵が受けられるという。EU加盟28か国の承認を経て協定が発効すれば、人口約7億8000万人を擁する巨大市場が誕生する。

 ブラジルはEUとの「歴史的な」合意を歓迎。アルゼンチンはこの合意を「前例のないもの」と称した。(c)AFP/Clément ZAMPA