【6月28日 CNS】米国務省がまとめた世界各国の「信教の自由」報告書で、中国政府が新疆ウイグル自治区などで信教の自由を侵害していると批判しているのに対し、中国外務省の耿爽(Geng Shuang)報道官は「事実を尊重し、偏見をやめてほしい。こうした報告書は中国の宗教政策や新疆ウイグル自治区での統治を中傷している。内政干渉にあたり、毎年発表するのをやめるべきだ」と反論した。

 米国務省は21日、2018年版の「信教の自由報告書」を発表。中国では信仰の自由が侵害されており、特に新疆ウイグル自治区にある教育訓練センターではイスラム教徒が収容され、迫害を受けていると主張している。マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)国務長官は「歴史はこのような行為に対し沈黙したままではいられない」と訴えている。

 耿爽氏は24日の外務省定例会見で、「報告書は事実無根であり、イデオロギー的偏見に満ちている。中国の政策を中傷し、内政干渉をしている。中国政府は既に米国へ抗議した」と述べた。

 耿爽氏は「中国では法律に基づき、信教の自由は完全に守られている」と説明。国内の宗教人口は約2億人に上り、そのうち約2000万人がイスラム教徒。宗教団体は5500団体、法律に従って登録された宗教活動場所は14万か所以上もある。新疆ウイグル自治区には2万4400か所のモスク(イスラム礼拝所)があり、イスラム教徒530人あたりに1か所あることになる。

 それと対照的に、「米国では少数民族の宗教や人権状況は憂慮すべきものがある」と指摘。米国のコンサルティング会社「ギャラップ(Gallup)」の世論調査によると、42%の米国人は民族間の問題について非常に不安を抱えており、イスラム教徒の75%は米国社会にはイスラム教徒に対し深刻な差別があると答えている。公開されたデータによると、アメリカのモスクの数は新疆ウイグル自治区の10分の1以下という。

 耿爽氏は、新疆ウイグル自治区の職業技能教育訓練センターについて、「テロ予防対策と反過激主義を目的としたものであり、新疆の全民族の人々の生命、財産の安全や、信教の自由と人権をよりよく保護するためである。いかなる宗教的な問題もない」と説明。「新疆における社会情勢の安定と持続可能な経済発展に重要な貢献をしたことは事実で証明されている」と強調した。(c)CNS/JCM/AFPBB News