【6月28日 AFP】米連邦最高裁判所は27日、国勢調査に市民権をめぐる質問を加えることは認められないとする判決を下した。ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は2020年の調査で市民権を尋ねる方針を示しており、判決は同大統領の動きに歯止めをかけるもの。この設問には、移民人口が大幅に少なく算出される結果につながるとの批判があり、判決は反対派にとって勝利となった。

 最高裁では保守派が多数派を占めるが、評決ではジョン・ロバーツ(John Roberts)長官がリベラル派に加わり、5対4で2020年調査での市民権に関する質問の追加が阻止された。最高裁は、政府の主張は「信頼性に欠ける」と指摘したが、トランプ政権が新たな説明を試みる余地は残している。

 20か国・地域(G20)首脳会議に出席するため日本を訪問中のトランプ大統領は、市民権を尋ねないことは「まったくばかげている」とツイッター(Twitter)に投稿した。同大統領は、最高裁に「追加情報」を提供して新たな判断を得るため、政府の法律専門家らが2020年の国勢調査の実施を遅らせようとしていると説明。「どれだけ長期になろうと」延期をいとわない姿勢を見せた。

 米国の国勢調査は10年に1度行われる。

 批判派は、調査に市民権の設問が加われば、トランプ政権の強硬な取り締まりを恐れて回答を避ける移民が増加し、その存在が結果に反映されなくなると主張。米国勢調査局(Census Bureau)の専門家らは、こうした主張を支持している。

 このほか最高裁は、与党が自らに有利になるよう選挙区の区割りを変更する、いわゆる「ゲリマンダリング」をめぐる別の訴訟で、こうした区割り変更を禁じる判決を下すことを拒否した。(c)AFP/Charlotte PLANTIVE