【6月27日 AFP】ノルウェーの警察は26日、約8か月前から行方不明となっている同国の富豪の妻について、おそらく拉致と見せ掛けて殺害されたとの見解を示した。

 不動産およびエネルギー事業で財を成した実業家トム・ハーゲン(Tom Hagen)さんの妻アンエリザベット・ハーゲン(Anne-Elisabeth Hagen)さんは、昨年10月31日に首都オスロ近郊ロレンスコグ(Lorenskog)の自宅から姿を消し、消息が分からなくなっている。

 日刊紙ベルデンスガング(Verdens Gang)の報道によると、拉致犯とみられる人物らは、身代金900万ユーロ(約11億円)を、追跡が特に難しい仮想通貨「モネロ(Monero)」で支払うよう要求していた。

 捜査の過程で拉致犯とみられる人物らとオンライン上で複数回接触したが、彼らがアンエリザベットさんを拘束している、つまりアンエリザベットさんがまだ生存していることを確認できなかったという。

 トミー・ブロスケ(Tommy Broske)主任捜査官は記者会見で、「結果として、われわれの主な仮説は、アンエリザベットさんが殺害されたというものに修正された」「殺害を拉致に見せ掛けようとした可能性がある」と述べたが、容疑者の目星が付いているかどうかには言及しなかった。

 ブロスケ氏はこの結論に至ったもう一つの大きな要因として、「身代金取引の要求が驚くほど少なかったこと」を挙げた。

 ハーゲン夫妻の弁護士は自身の見解として、この事件は「拉致が転じて殺人になった可能性もある」と記者団に語った。(c)AFP