【6月29日 Xinhua News】中国四川省(Sichuan)宜賓市(Yibin)長寧県(Changning)と珙県(Gong)で17日、マグニチュード(M)6.0と5.1の地震が相次いで発生、5日後の22日には珙県で再びM5.4の地震が発生した。立て続けに地震が発生したが、驚くべきことに珙県にある絶壁に掲げられた「僰人」(Boren、ぼくじん)の木棺「僰人懸棺」は無傷の状態を保っている。

 僰は古代中国南西部の少数民族で、主に四川省と雲南省(Yunnan)の境にある宜賓地区の珙県や興文県(Xingwen)、高県一帯に暮らしていた。「僰人懸棺」は死者のひつぎを断崖絶壁に安置するのを特徴とする、僰人が残した貴重な歴史文化遺産。珙県には280基以上もの懸棺が現存し、国の重要文化財に指定されている。

 珙県文化広播電視・観光局の范玉洪(Fan Yuhong)副局長は「地震発生後、懸棺の状況確認に職員を行かせたが、全部無事だった。これは昔の人の知恵を十分に表すものだ」と語った。

 范氏によると、「僰人懸棺」の多くはクスノキをくり抜いて作られたもので、重さは約500キロ。懸棺が安置されるのは通常高さ20メートルから60メートルの場所だが、100メートル以上の場所に置かれたものもあるという。当時の人がこのような重い棺をどのようにして断崖絶壁に運んで安置したのか、今なお明らかになっていない。

 絶壁にはまた杭を挿す穴が蜂の巣のように多数開けられており、赤い色で描かれた壁画が200点以上ある。壁画の内容は騎射や踊り、動物、武器などさまざまで、僰人が暮らしていた時代の自然環境、社会生産、民俗風習などを描き出している。(c)Xinhua News/AFPBB News