【6月25日 AFP】スペイン北部ナバーラ(Navarra)州の当局は24日、素人が手掛けた修復によって漫画のキャラクターのようになってしまったと批判されていた16世紀の聖像について、原状を回復したと発表した。

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 同州の町エステージャ(Estella)のサンミゲル(San Miguel)教会にある騎乗の聖ホルヘ(St George)の木像は、経年により暗い茶色に変色していた。

 そこで地元の工房に修復を依頼したところ、顔がピンク色に塗られ、驚いたような表情になってしまった。

 昨年修復後に披露されると、変わり果てた姿に人々から怒りの声が上がった。ツイッター(Twitter)では、ベルギーの漫画の主人公タンタン(Tintin)や、米アニメ映画シリーズ「トイ・ストーリー(Toy Story)」の主人公ウッディ(Woody)に似ているという感想も聞かれた。

 地元当局はこの件をめぐり、教会と修復を担った工房にそれぞれ6010ユーロ(約70万円)の罰金を科した。

 その後、同教区が3万ユーロ(約370万円)の修復費を支払う形で、州都パンプロナ(Pamplona)にある公認の専門施設で3か月かけて再度修復が行われ、木像はほぼ元通りに戻ったと、ナバーラ州は発表した。

 スペインの芸術保存・修復協会の広報を務めるフェルナンド・カレラ(Fernando Carrera)氏はAFPに対し、「スペインの歴史遺産の管理に問題がある」と述べ、概して規則順守が徹底されていないことに加え、芸術作品の修復が必要な場合に「誰が介入すべきか」が、法律で明確に規定されていない点を指摘した。

 スペインでは2012年にも、高齢女性がフレスコ画のイエス・キリスト(Jesus Christ)の修復を手掛け、漫画のサルのようになってしまった例がある。(c)AFP