どこか遠くをじっと無表情に見つめる写真の少女。少女の持つ色とりどりの風船は本来子供たちの心を弾ませるはずだ。しかし少女にとって風船は、日々の生活をつなぐための売り物でしかない。
その一方で風船を買い与えてもらえる幸せな女の子もいるだろう。その風船はきっとその子を笑顔にする。その子は日々学校に行き、友達と遊び、時に両親と買い物にも出かける。風船を路上で一日中売り歩くことなどない。
風船を売った少女と買い与えて貰った少女との違いは何だろう。
貧困、それは風船を手にした少女たちのその表情の明暗を大きく分けてしまう。たまたま生まれた環境が違っただけで、このインドの少女からは明るく、楽しい笑顔は奪い去られてしまった。この写真の少女の表情、それこそが貧困が生み出した悲しく切ない結果なのだ。少女が風船を手に、明るい笑顔になることができる日は来るのだろうか。


[白百合学園中学高等学校 高校1年 K.Y]

[講評]柳沢富夫(有限会社ラウンドテーブルコム取締役社長)
一枚の写真から写っていない人の心も想像して文章化されています。複数の異なる視点の人の心を読み取っている点が斬新でした。少女の目の表情を捉えているのも写真家の意図を読み取っているようでした。
一度メディアを自分の中に取り込み、自分がメディアとなって、うまく表現が出来ていると思います。