【6月25日 AFP】北朝鮮への違法な石油製品販売疑惑で当局から捜査を受けていた台湾人実業家(54)が21日、建物から飛び降り死亡した。自殺とみられている。台湾法務部は遺憾の意を表明した。

 死亡したのは陳世憲(Chen Shih-hsien)被告。地元メディアによると陳被告は「遺書」を残していた。検察はこれについてコメントに応じていない。

 北朝鮮の船に石油製品を移し、国連(UN)の制裁を無視した疑いがあるとして韓国政府が香港籍の船を拿捕(だほ)したことを受け、台湾当局は昨年、陳被告の捜査を開始した。

 陳被告は捜査開始後、自身が貸し切った船について、実際には石油製品を売るため国際水域に向かっていたにもかかわらず、香港に向かっていたと虚偽の申告をしたとして偽造罪に問われ、起訴された。台湾南部・高雄(Kaohsiung)市の地方法院は先月、陳被告に禁錮119日、執行猶予2年の判決を言い渡した。

 問題の香港籍の船「ライトハウス・ウィンモア(Lighthouse Winmore)」は2017年後半、石油600トンを北朝鮮船に積み替えたとして韓国当局に拿捕(だほ)された。報道によると、陳被告は「中国の仲介人」を通じて石油製品を販売していたとされるが、同被告は報道陣に「中国にはめられた」と訴えていた。

 陳被告は当局による資産の凍結を受けて昨年1月、自殺を図ったが未遂となっていた。(c)AFP